概要情報
事件名 |
飯田風越タクシー |
事件番号 |
長野地労委 平成 2年(不)第1号
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申立人 |
風越タクシー労働組合 |
被申立人 |
飯田風越タクシー 有限会社 |
命令年月日 |
平成 2年12月19日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合の歩合率問題等7項目についての団交申入れに対して誠実に応じなかったこと、(2)組合の役員人事に言及し組合運営に介入したことが争われた事件で、上記7項目についての誠実団交応諾、組合役員人事への言及による支配介入の禁止及び文書掲示を命じ、誓約文の交付・掲示についての申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成元年3月27日に申し入れた下記要求事項について、次の措置を講ずることを含め、申立人との団体交渉に誠意をもって応じなければならない。 (1) 下記要求事項(1)ないし(3)について、被申立人の経理に関する具体的な資料を提示すること。 (2) 下記要求事項(1)については、歩合率の引上げに要する経費を、同(2)については、歩合金全額を毎月精算することができない理由を、同(3)については、保障給の額を据え置く理由を、それぞれ具体的に説明すること。 記 (1) 歩合金の支給率を運賃収入額の46パーセントから48パーセントに引き上げること。 (2) 歩合金留保金の制度を廃止し、その月に確定した賃金を当月において支払うこと。 (3) 保障給の額を引き上げること。 (4) 歩合金が保障給の額を下回った場合の翌月へのマイナス繰越を行わないこと。 (5) 年次有給休暇の取得につき、前3か月の賃金総額を基にした労働基準法第12条に基づく平均賃金等を、歩合金と別に支払うこと。 (6) 15番勤務を確保するため、早急に労働者を確保すること。 (7) 配車基準を公正化すること。 2 被申立人は、申立人の役員人事に言及して、これに介入してはならない。 3 被申立人は、下記の文書を縦40センチメートル、横55センチメートル(新聞紙1ページ大)の白紙にかい書で明瞭に墨書して、本社事務室内及び丸山営業所従業員控室内のそれぞれ見易い場所に、き損することなく7日間掲示しなければならない。 記 当社が行った次の行為は、長野県地方労働委員会により、不当労働行為と認定されました。当社は、今後このような行為を行わないようにいたします。 1 平成元年3月27日に貴組合から申入れのあった事項について、自己の主張の根拠を具体的に説明せず、資料の提示を行わないなど、誠意をもって団体交渉に応じなかったこと。 2 平成元年4月24日、団体交渉の席上、貴組合の役員人事に言及したこと。 平成 年 月 日 風越タクシー労働組合 執行委員長 X1 殿 飯田風越タクシー有限会社 代表取締役 Y1 4 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2245 引き延ばし
歩合給問題その他の組合の本件団交要求事項についての会社の交渉態度は、実質的論議を尽くすべき努力を怠ったもので、正当な理由のない団交拒否であり、労組法7条2号の不当労働行為に当たるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社社長が、団交で、X1が委員長をやっている間は駄目だ等の発言をしたことが支配介入に当たるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
会社が組合に団交に応じる用意があると打診したことに組合が積極的にこたえ、直ちに団交に応じなかったことをもって、本件不当労働行為の救済利益が失われたと解することはできないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集91集522頁 |
評釈等情報 |
 
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