事件名 |
郵政省年末手当支給等 |
事件番号 |
公労委 昭和39年(不)第3号
公労委 昭和39年(不)第11号
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申立人 |
全逓信労働組合 |
被申立人 |
郵政大臣 |
命令年月日 |
昭和41年 7月16日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
郵便局長が、(1)全逓組合員の昭和38年度年末手当につき別組合
の組合員と差別して支給したこと、(2)全逓の簡保転貸債制度反対闘争中に同制度に関する郵政大臣訓示を郵便局内に掲示した
こと、(3)全逓組合員に対し全逓からの脱退を勧奨する言動をしたこと、(4)組合集会のための庁舎利用の許可をしなかった
こと、(5)無許可で郵便局通用門に掲出した組合旗を撤去したこと、(6)就業時間中に「全逓」と表示した鉢巻等の着用を禁
したこと等が争われた事件で、脱退を勧奨する言動については不当労働行為の成立を認め、その他の申立ては棄却し
た。 |
命令主文 |
主 文
1 被申立人は、申立人に対し、本命令交付の日から30日以内に、文書により、昭和38年12月、玉川郵便局長Y1、竜江郵
便局長Y2、福岡中央郵便局次長Y3および同局庶務課長Y4が、全逓信労働組合の組合員に対して同組合から脱退するようしょ
うようしたことについて、遺憾の意を表わさなければならない。
2 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
郵政省の昭和38年末の年末手当は、申立組合員よりも早くA組合およびB組合(以下両組合という。)の組合員に対して支給さ
れたことは認められるが、これは、申立組合が年末手当問題と簡保転貸債問題の同時解決という方針をとったため、年末手当につ
いての妥結が両組合よりもおくれたことによるものにすぎない。また、いずれの組合にも加入していない職員にも両組合と妥結し
たところに準じて年末手当を支給することとしたことも、使用者として当然の措置である。これらは申立組合員を年末手当の支給
について両組合の組合員より差別的に取り扱ったものとはいえない。
2610 職制上の地位にある者の言動
昭和38年末、申立組合がいわゆる簡保転貸債制度に反対して超過勤務拒否の指令を出したのに対し、各郵便局に掲示された郵政
大臣訓示は、簡保転貸債制度についての当局の考え方を説明し、この制度に反対する申立組合の方針に対する郵政大臣の見解を述
べるとともに、年末首繁忙期にあたり業務の運営について職員の協力を要望したものにすぎず、組合の運営に介入したということ
はできない。
2621 個別的示唆・説得・非難等
郵便局長が女子職員X1を自宅に招いて、同局長がX1に結婚相手として紹介していた男子職員が申立組合員であって、X1が申
立組合員であることが縁談の支障にはならないのに、局の職員全部が申立組合を脱退する動きがあるとき申立組合を脱退しないこ
とは結婚にも影響するから皆と同一歩調をとったほうがよい旨説得したことは、組合の運営に介入したものと認められる。
3020 組合活動への制約
組合活動に対して郵便局庁舎の利用を許すことは、本来組合に対する便宜供与であって、組合がいわゆる三六無協定戦術等を採用
して、年賀繁忙には協力しないという態度に出ているとき、当局が組合活動のための庁舎利用の許可を与えず、さらにその許可を
えないで局庁舎内で行なわれた組合の集会に対して解散するよう通告したとしても、不当なものとはいえず組合の運営に介入した
とはいえない。
3020 組合活動への制約
申立組合が年賀繁忙には協力しないという態度をとっているとき、当局がオルグの局舎内は立ち入るのを拒むことは不当ではない
が、組合に対して局舎内に組合事務室の設置を承認した以上、上部機関の役員が組合事務室に入ることを禁止することは行き過ぎ
である。
3020 組合活動への制約
事前の許可を要するにもかかわらず、当局の許可をえないで、郵便局通用門に掲出した組合旗を当局が撤去したことは、組合の運
営に介入したものとはいえない。
2620 反組合的言動
(1) 郵便局において、局内報として定期的に発行されているもので、その中の労務の欄に「12月27日地区企画部長会議が
開催され、今次闘争の批判反省が行なわれた模様」等と記載されたものを職員に配布したことは、組合の会合、行事等を報道して
いるにすぎないものであって、これをもって組合の運営に介入したものとはいえない。(2) 申立組合が三六無協定戦術をとっ
ているとき、当局側が「信頼している職員の皆さん」および「最も信頼する職員の皆さんに連絡します」という題のもとに「職員
の皆さんに、良識ある判断をしていただいて、一刻も早く協定を締結したい」と記載し、あるいは「全逓組合員のT局に対してと
られた行動は社会的に面白くないので、今後やめてもらいたい」とのT町会長名の文書がT局前に掲示されていたという記事等を
掲載した文書を職員に配布したことは、単にいわゆる三六協定を結んで年末首の繁忙を切りぬけたいという当局の希望を表明し、
町民の声等を掲げたものにすぎず、これをもって組合の運営に介入したものとはいえない。
2216 その他
3020 組合活動への制約
被申立人は組合側交渉委員が団体交渉に出席することを拒否したが、これは労使間の事前協議により、支部三役以外は所属長が業
務に支障がないと認めた交渉委員に限るということに決められていたのであるから、所属長である郵便局長が支部三役でない交渉
委員について業務に支障があると認めてその出席を拒否したことは、組合の運営に介入したものとはいえない。
3105 事業廃止、工場移転・売却
申立組合員が「全逓」と表示した腕章または鉢巻を着用して執務しているのに対し、当局がその着用を禁止したが、それは勤務時
間中の着用の禁止であって、組合の運営に介入したものとはいえない。
1203 その他給与決定上の取扱い
出勤してきた職員が始業ベルまで休憩室などで待機し、ベルが鳴ったのち更衣し、その後、列を作って出勤簿に押印してから就業
するといういわゆる就労規制戦術を採用した結果、申立組合員が出勤簿に押印するのが始業時刻に遅れ賃金カットされたことは、
組合の運営に介入したものとはいえない。
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業種・規模 |
分類不能の産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集 |
評釈等情報 |
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