概要情報
事件名 |
麻植サナトリウム |
事件番号 |
徳島地労委 平成 5年(不)第2号
徳島地労委 平成 5年(不)第4号
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申立人 |
鴨島中央病院労働組合 |
申立人 |
徳島県医療労働組合連合会 |
被申立人 |
麻植サナトリウム |
命令年月日 |
平成 5年10月21日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、病院が、(1)執行委員長X1の就職以来支給されていた役付手当について、一方的に不支給としたこと及び他職種の主任手当の改定に併せて改定しなかったこと、(2)平成4年度賃上要求等の団交において、賃上げゼロの回答について経営権の侵害を理由に具体的な資料提出の要求を拒否したこと、(3)組合との「確認書」の確認事項を無視して組合員X2の正看護婦手当を一方的に全額カットしたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 徳島地労委は、(1)について役付手当の遡及支払い、(2)について資料の開示又はは事情の説明を尽くすなど誠意ある団交の対応、(3)について正看護婦手当の遡及支払いと、(1)X1の役付手当改定を除くそれぞれについて文書交付を命じ、その余の救済申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1に対して、平成4年9月に遡及して、役付手当の名称で支給していた月額 5,000円を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人の平成4年5月29日付け及び同年10月22日付けの団体交渉要求事項(既に解決済みの夏季及び年末一時金に関する部分を除く。)について、資料の開示又は事情の説明を尽くすなど、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 3 被申立人は、X2に対して、平成5年1月に遡及して、正看護婦手当月額2万円を支払わなければならない。 4 被申立人は、申立人鴨島中央病院労働組合に対し、次の文書を本命令書写しの交付後速やかに手交しなければならない。 当病院が行った下記の行為は、労働組合法第7条1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると徳島県地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにします。 記 1 貴組合執行委員長X1に対して、平成4年9月以降、役付手当を支払わなかったこと。 2 平成4年5月29日付け及び同年10月22日付けで貴組合から申入れのあった団体交渉に、誠意をもって応じなかったこと。 3 貴組合書記長X2に対して、平成5年1月以降、正看護婦手当を支払わなかったこと。 平成 年 月 日 鴨島中央病院労働組合 執行委員長 X1殿 麻植サナトリウム 院長 Y1 注 年月日は、文書を手交した日を記載すること。 5 申立人らのその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
執行委員長の主任手当を支給しなくなったことに合理的理由はなく、活発化した組合活動を嫌悪した7条1、3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
賃上げ等の団交に、資料を提示するなど、賃上げ等ができない理由について組合が理解し、納得するよう努力したとは認められず、使用者として誠意をもって交渉したとはいえないとされた例。
1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
書記長に対し、一方的に正看護婦手当を全額カットしたことに合理性がなく、活発化した組合活動を嫌悪した7条1、3号の不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集98集198頁 |
評釈等情報 |
 
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