概要情報
事件名 |
五島会福寿園 |
事件番号 |
長崎地労委 平成 4年(不)第1号
長崎地労委 平成 4年(不)第2号
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申立人 |
全国一般労働組合長崎地方本部 |
被申立人 |
社会福祉法人 五島会 |
命令年月日 |
平成 5年 8月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
法人が、(1)職務怠慢・不適格等を理由に副委員長X1を解雇したこと、(2)職務怠慢・不適格等を理由に組合員X2を解雇し、その後、職務違反行為を理由に懲戒解雇したこと、(3)理事長・理事らが組合員のみならず地縁者・血縁者に対し組合脱退工作を行ったことが争われた事件で、(1)、(2)について、解雇撤回及び原職復帰と、中間収入を控除せず支払済の解雇予告手当のみを控除した金員の支払いを命じ、(1)ないし(3)についての文書掲示を命じ、その余の救済申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合の組合員X1に対する平成 3年 7月23日付解雇を解雇時に遡って撤回し、同人を原職に復帰させるとともに、同人に対し、同年 7月24日から復帰までの間に同人が受けるはずであった給与に相当する金員を支払わなければならない。但し、既に支払済の解雇予告手当を控除するものとする。 2 被申立人は、申立人組合の組合員X2に対する平成 4年 1月20日付解雇及び同年11月11日付解雇を解雇時に遡って撤回し、同人を原職に復帰させるとともに、同人に対し、平成 4年 1月21日から復帰までの間に同人が受けるはずであった給与に相当する金員を支払わなければならない。但し、既に支払済の解雇予告手当を控除するものとする。 3 被申立人は、次のような文書を縦 1メートル、横 1.5メートルの大きさの白紙に墨書し、被申立人の運営する老人保健施設五島福寿園内の職員に周知し易い場所に1週間掲示しなければならない。 平成 年 月 日 全国一般労働組合長崎地方本部 様 福江老健職員労働組合様 社会福祉法人 五 島 会 理事長 Y1 当法人が、貴組合の組合員X1氏を平成 3年 7月23日付、同X2氏を平成 4年 1月20日付及び同人を同年11月11日付で解雇したこと並びに組合員に対し組合からの脱退工作を行ったことは、長崎県地方労働委員会によって、いずれも労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 4 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0500 勤務成績不良
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
副委員長X1に対する職務怠慢、不適格等を理由とする解雇が、会社の主張にいずれも根拠がないこと等から、組合つぶしの一環としてなされた7条1、3号の不当労働行為とされた例。
0500 勤務成績不良
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
唯一の組合員となったX2に対する職務怠慢等を理由とする解雇及びその後地労委での証言内容等を理由とする解雇が、その理由に妥当性を欠き、7条1、3号の不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
理事長、理事らが一律となって、組合員のみならず、地縁者、血縁者に対しても行った組合脱退工作が不当労働行為とされた例。
4405 バックペイから他収入控除
解雇後、数カ月無職ですごし、その後もパート等で月収は解雇前の半額程度にすぎないなど不安定な生活状態と組合活動がなし得なかった状況を考慮し、バックペイから中間収入控除は不要とされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集97集355頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 平成 6年 1月30日 1514号 16頁 
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