労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  前田運輸倉庫 
事件番号  千葉地労委 平成 2年(不)第6号 
申立人  全日本運輸一般労働組合東京地方本部千葉地域支部 
被申立人  前田運輸倉庫 株式会社 
命令年月日  平成 5年 3月29日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)分会員X1を車輌の修理申告書の提出拒否等を理由に3日間の自宅謹慎処分に付したこと、(2)組合が会社を非難・中傷するビラを配付したことを理由に、分会長X2を15日間の自宅謹慎処分に付したこと、(3)両名の平成元年及び平成2年の夏期、年末一時金、並びに元年の昇給について、他の従業員と比し低位に査定し支給したこと、(4)組合活動を理由とした両名の有給休暇申請を認めず、欠勤扱いとしさらに賃金カットしたこと、(5)時限ストライキを理由に両名の賃金カットをしたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
千葉地労委は、(1)と(2)についてX2、X1の懲戒処分がなかったものとしての取扱い、(3)について両名の平成元年及び平成2年の各一時金の差額分と平成元年の昇給差額分の支払い、(4)について両名の欠勤扱いによる賃金カットがなかったものとしての取扱い及びカット分の支払い、又(3)と(4)についてはポストノーティスを命じ、(5)については却下し、その余の申立て(謝罪文の手交)は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、X2に対する平成2年5月26日付け懲戒処分(自宅謹慎15日)及びX1に対する平成2年4月25日付け懲戒処分(自宅謹慎3日)をなかったものとして取扱い、両名に対し、それぞれ次の金額を支払わなければならない。
 X2・・・ 179,600円
 X1・・・平成2年4月26日から同月28日までの賃金カット分
2 被申立人は、平成元年夏期一時金、平成元年年末一時金及び平成2年年末一時金の差額分並びに平成元年4月から平成2年3月までの昇給差額分として、X2及びX1に対し、それぞれ次の金額を支払わなければならない。
 X2・・・平成元年夏期一時金差額分として、27,000円
      平成元年年末一時金差額分として、51,900円
      平成2年年末一時金差額分として、55,000円
      昇 給 差 額 分 と し て、 6,000円
 X1・・・平成元年夏期一時金差額分として、54,000円
      平成元年年末一時金差額分として、69,200円
      平成2年年末一時金差額分として、66,000円
      昇 給 差 額 分 と し て、12,000円
3 被申立人は、有給休暇の欠勤扱いによる賃金カットがなかったものとして取扱い、X2及びX1に対し、それぞれ次の金額を支払わなければならない。
 X2・・・平成元年11月20日分賃金     13,395円
 X1・・・平成元年11月8日分賃金     13,375円
4 被申立人は、本命令書の送達を受けた日から7日以内に、下記内容の文書を、縦1メートル、横2メートルの白紙の全面に楷書で鮮明に墨書し、被申立人の本社事務所入口の従業員の見易い場所に、毀損することなく、継続して10日間掲示しなければならない。
               記
 当社は、貴組合前田運輸倉庫分会の発展の阻害と、その弱体化のために、平成元年夏期一時金、同年年末一時金、平成2年年末一時金の支給及び平成元年度の昇給並びに有給休暇の取得等について、分会の組合員を差別し、不利益に処遇してきました。
 この度、千葉県地方労働委員会において、これらが労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 よって、当社は、今後、このようなことを繰り返さないようにいたします。
 平成  年  月  日
 全日本運輸一般労働組合
 東京地方本部千葉地域支部
  執行委員長 X3 様
              前田運輸倉庫株式会社
               代表取締役 Y1   
     (注:年月日は掲示の日を記入すること。)
5 申立人申立てのうち、平成元年5月2日の時限ストライキを理由とする賃金カットに係る申立てを却下する。
6 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会長ら2名に対し、残業拒否を理由とする自宅謹慎処分に付したことが、就業規則上の根拠、手続などずさんなこと等から、労組法7条1、3号の不当労働行為とされた例。

1600 休暇の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会長ら2名の年次有給休暇を認めず、欠勤扱いとし、賃金カットしたことが労組法7条1、3号に該当するとされた例。

5200 除斥期間
救済申立日及び申立の趣旨変更の申立日前1年以上経過した年休の賃金カットは申立期間徒過したとして却下した例。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員の平成元年夏期一時金等の支給に当たり、別組合員と差別して低く査定し、減額支給したことが合理的理由がないこと等から労組法7条1、3号の不当労働行為であるとされた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
平成元年の昇給に当たり、分会員2名を低く査定したことが、合理性理由がないこと等から労組法7条1、3号の不当労働行為とされた例。

業種・規模  倉庫業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集96集449頁 
評釈等情報   

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