労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ニューロング工業 
事件番号  東京地労委 昭和61年(不)第28号 
東京地労委 昭和61年(不)第34号 
申立人  全国一般東京一般労働組合 
被申立人  大館ニューロング工業 株式会社 
被申立人  ニューロング工業 
命令年月日  平成 4年 3月17日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合員にのみ残業を命じなかったこと、(2)組合掲示板下の置台を一方的に撤去したこと、(3)組合に対する誹謗中傷や組合からの脱退勧奨したことが争われた事件で、(1)については文書掲示を、(2)については当該置台の原状回復及び文書掲示を、(3)についてはこれら行為による支配介入の禁止及び文書掲示を命じ、併せて履行報告を命じた。 
命令主文  主  文
1.被申立人ニューロング工業株式会社および被申立人大館ニューロング工業株式会社は、大館ニューロング工業株式会社食堂内の、申立人全国一般東京一般労働組合用の掲示板下部に付設されていた置台を、撤去した以前の状態に復さなければならない。
2.被申立人らは、大館ニューロング工業株式会社所属の申立人組合の組合員に対し、組合に対する誹謗中傷や組合からの脱退勧奨を行うことによって、組合の組識運営に支配介入してはならない。
3.被申立人らは、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記文書を楷書で明瞭に墨書して、被申立人らの正面玄関入口の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
             記
                       年 月 日
全国一般東京一般労働組合
執行委員長 X1 殿
              ニューロング工業株式会社
              取締役社長    Y1
              大館ニューロング工業株式会社
              代表取締役    Y2
 当社が行った下記の行為は、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。
             記
(1) ニューロング工業株式会社大館工場(昭和60年8月以降は大館ニューロング工業株式会社)の従業員に対する時間外労働の取扱いについて、昭和59年4月10日以降同61年3月末頃までの間、貴組合所属の組合員に対し他の従業員と差別して取扱ったこと。
(2) 大館ニューロング工業株式会社食堂内の貴組合掲示板の下部に付設されていた置台を撤去したこと。
(3) 貴組合の組合員に対し、組合に対する誹謗中傷や、組合からの脱退勧奨を行ったこと。
 (注:年月日は文書を掲示した日を記載すること。)
4.被申立人らは、前第1項および第3項の命令を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
春闘時に組合が残業拒否を行ったところ、会社が春闘終結後も残業拒否時点の経緯にことよせて、組合員にのみ長期にわたり残業を命じないことが不当労働行為に当たるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
工場長の組合に関する一連の発言は、組合を誹謗中傷し、脱退を勧奨する発言で支配介入に当たるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
係長らの発言の主旨は組合を誹謗中傷し、組合からの脱退を勧奨する言動で会社の支配介入に当たるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社員会理事(会社の主任代理)らの組合を誹謗中傷する言動が会社の支配介入に当たるとされた例。

3020 組合活動への制約
組合掲示板の下部に付設されていた置台を一方的に撤去したことが支配介入に当たるとされた例。

3411 その他の従業員の言動
子会社の職制は工場長の次は係長であって、本件係長らは子会社幹部であるから、会社が同人らの発言の責任を負うものとされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
係長らの組合を誹謗中傷し、組合からの脱退を勧奨する言動を工場長が制止せず、これを黙認していることから、会社は支配介入の責任を免れないとされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
社員会理事(会社の主任代理)らの組合を誹謗中傷する言動について、組合の抗議に工場長が黙認放置し、これを利用しようとしたことから、会社に帰責されるとされた例。

4421 文書掲示等を命じた例
残業差別については、本件結審時にはすでに解消されていることから、ポストノーティスのみを命じた例。

4603 その他
組合員に対する脱退勧奨及び組合への誹謗中傷にかかる事実は、全て分社後の子会社で発生しているが、会社は子会社と共に労組法7条の使用者の地位にあるから、その責任は両者に負わせるとして、両者あてに支配介入の禁止を命じた例。

4909 事業分離後の新企業体
会社は同社の工場を分社して設立した子会社と共に、本件申立てについて労組法7条の使用者の地位にあるとされた例。

4909 事業分離後の新企業体
会社と子会社は、本件残業拒否の問題についても、その使用者性を認めることが相当であるとされた例。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集94集180頁 
評釈等情報   

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