労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  博多第一交通 
事件番号  福岡地労委 昭和61年(不)第8号 
申立人  相互筑紫交通労働組合 
被申立人  博多第一交通 株式会社 
命令年月日  平成 4年 3月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)乗務員証の不携帯を理由に組合員X1を出勤停止処分にしたこと、(2)迎車の際の客間違い等を理由に組合員X2を出勤停止処分にしたこと、(3)組合大会出席の際の営業車の利用を理由に組合員を出勤停止処分にしたこと、(4)組合大会への出席及び組合事務所入室を妨害したこと、(5)組合旗の掲揚を理由に組合員を出席停止処分にしたこと、(6)組合旗を実力で撤去したこと、(7)時間外労働の禁止を組合員にのみ指示したこと、(8)昭和61年度一時金を組合員にのみ支給しなかったことが争われた事件で、(2)(3)(5)(7)について結審時在職中の組合員X3及びX4については処分の撤回及びバックペイ、同人ら以外の者の受けた処分等については(6)を含め文書掲示を命じ、(1)(4)(8)については不当労働行為には当らないとして申立てを棄却した。 
命令主文  主  文
1.被申立人は、申立人組合員X3及びX4に対する次の処分を撤回し、同処分が無ければ得たであろう賃金相当額を支払わなければならない。
(1) X3に対する、昭和61年7月4日午前8時から同月8日午前2時迄の出勤停止処分
(2) X4に対する、昭和61年6月26日午前8時から同日午後5時迄の出勤停止処分
2.被申立人は、本命令交付の日から7日以内に下記の文書を縦1メートル、横50センチメートルの白紙に明瞭に記載して、被申立人会社の従業員の見易い場所に掲示しなければならない。
              記
 当社が相互筑紫交通労働組合の組合員に対し、組合大会に出席の際営業車を利用したこと等を理由とする昭和61年6月26日、同月27日、同年7月4日に行った処分、迎車の際客を間違えて乗車させたこと及び欠勤連絡が遅れたことを理由とする同年7月2日に行った処分、組合旗掲揚を理由とする同年7月4日に行った処分、時間外労働をしたことを理由として同年7月9日に行った「指導」、並びに同年7月当時組合旗を再三に亘り撤去した行為は、福岡県地方労働委員会において不当労働行為と認定されました。今後かかることのないように留意いたします。
 平成 年 月 日
相互筑紫交通労働組合
 執行委員長 X3 殿
                 博多第一交通株式会社
                  代表取締役  Y1
3.申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
本件会社敷地内での組合旗掲揚は、その必要性が察せられ、掲揚方法も掲揚する必要性と比較して相当性を逸脱していたとは認められないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
非組合員に対して昭和61年度一時金を支給しながら、組合員に支給しなかったことは、両者に適用される賃金体系の違い等によるものである等として、不当労働行為に当らないとされた例。

1302 就業上の差別
会社が組合員に対してのみ時間外労働を禁止し、これに違反した組合員に対し「指導」を行ったことは、組合員の賃金の減少を意図した不当労働行為に当たるとされた例。

1400 制裁処分
乗務員証不携帯で乗車したことを理由に出勤停止処分に付したことをもって不当労働行為と断じることはできないとされた例。

1400 制裁処分
3600 処分の差別
組合員X2を客間違い、欠勤連絡遅れを理由に二乗務の出勤停止処分に付したことが、過重処分であり、不当労働行為に当たるとされた例。

1400 制裁処分
3600 処分の差別
組合員が営業車を利用して組合大会に参加した点は一応非難に値するが、出勤停止処分で臨んだことは性急にすぎるとともに、過重な処分であり、就業規則違反行為に名を借りた不当労働行為に当たるとされた例。

1400 制裁処分
会社敷地内での組合旗掲揚を理由として、組合員を出勤停止処分に付したことが不当労働行為に当たるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社の労務係長が、組合大会に参加しようとした組合員に対して、午前8時以降は会社の従業員であるので組合大会に参加しないよう発言したことが支配介入とまではいえないとされた例。

2620 反組合的言動
会社が組合員に勤務時間中用もないのに組合事務所に入室しないよう、もし入室したら処分する旨告げたことは、一般的な心構えを述べたにすぎず、支配介入に当たらないとされた例。

3020 組合活動への制約
本件会社敷地内での組合旗掲揚は、その必要性が察せられ、掲揚方法も相当性を逸脱していたとはいえず、会社が組合旗を再三実力で撤去したことは支配介入に当たるとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
結審時において会社を退職し、組合を脱退した者に係る申立てについて、組合は労組法7条1号の申立ては取り下げたが同条3号については維持しているので、同3号違反の成否及び被救済者利益を判断するとされた例。

4101 組合が合意している場合
結審時において会社を退職し、組合を脱退し、申立ての取下書が出された者に係る労組法7条1号の被救済利益について、組合が特段の反論をしていない以上、同利益は認められないとされた例。

5121 挙証・採証
有効に取り調べられた証言を取り下げることは手続き上許されず、組合脱退者による証言の取下書提出に拘らず全証拠に照らして判断することが適当であるとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集94集140頁 
評釈等情報   

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