概要情報
事件名 |
西村産業 |
事件番号 |
福岡地労委 平成 2年(不)第11号
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申立人 |
全国一般労働組合福岡地方本部 |
被申立人 |
西村産業 株式会社 |
命令年月日 |
平成 4年 1月10日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員に対し非組合員より低額の夏季一時金を支給したこと、(2)組合員にのみ賃上げを実施しなかったこと、(3)組合員にのみ年末一時金を支給しなかったこと、(4)組合員にのみ時間外労働をさせなかったことが争われた事件で、(1)、(2)については、賃金差額相当額の支払いを、(3)については、一時金相当額の支払いを、(4)については、時間外労働をしていれば得ていたであろう手当相当額の支払い及び組合員の非組合員と同様の時間外労働への従事を命じ、併せてそれぞれに関する文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
主 文 1.被申立人は、主文別表の「救済対象者名簿」に記載する被申立人会社の従業員及び従業員であったX1外30人(以下「X1ら31人」という。)に対して、次の金額を支払わなければならない。 (1) X1ら31人の各人毎の平成2年10月分以降の賃金について、一律1日あたり 395円の賃上げとなるように計算し直し、これと既に支給した額との差額。 (2) X1ら31人の各人毎の平成2年度夏季一時金について、平成2年7月における日額基本給に 47.46を乗じた額。 (3) X1ら31人の各人毎の平成2年度年末一時金について、前記(1) によって確定した日額基本給に 46.68を乗じた額と既に支給した額との差額。 (4) 平成3年1月17日以後主文第2項が履行される迄の間(退職した者は退職時迄の間)、X1ら31人が苅田工場の申立人組合員以外の作業員らと同様に時間外労働に従事していたら得たであろう時間外手当相当額と既に支給した額との差額。 2.被申立人は、X1ら31人中現在従業員である者に対して苅田工場の申立人組合員以外の作業員と同様に時間外労働に従事させなければならない。 3.被申立人は、本命令書交付の日から7日以内に下記の文書を縦1メートル、横50センチメートルの白紙に明瞭に記載して、被申立人苅田工場の掲示板等従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 当社が、全国一般労働組合福岡地方本部北九州支部西村産業分会の分会員に対して、平成2年度の夏季一時金、年末一時金及び賃上げにおいて不利益に取り扱ったこと、並びに時間外労働を指示しなかったことは、福岡県地方労働委員会において不当労働行為と認定されましたので、同委員会の命令に従い是正します。 平成 年 月 日 全国一般労働組合福岡地方本部北九州支部 西村産業分会員各位 西村産業株式会社 代表取締役 Y1 (主文別表略) |
判定の要旨 |
4413 給与上の不利益の場合
組合が平成2年度一時金及び賃上げについて、交渉が妥結するまでの間、暫定的に非組合員と同一基準での支給及び実施の救済を求めたのに対し交渉を経ての解決を待つことは遅きに失するとして、非組合員平均額による一時金の支給及び賃上げの実施を命じた例。
5121 挙証・採証
本件救済対象者としては、組合が賃金額等について具体的に疎明した組合員31名について救済することが適当であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
平成2年度の夏季一時金における組合員らの平均額と非組合員らの平均額の格差に合理的理由はなく、組合員に対する同一時金の低額支給は不当労働行為に当たるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
非組合員らのみ平成2年度賃上げを実施し、組合員らには実施しなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
非組合員らのみ、平成2年度年末一時金を支給し、組合員らには支給しなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。
1302 就業上の差別
時間外労働拒否闘争終了後、組合員らが時間外労働の指示を求めた以後も、会社が組合員らに時間外労働を指示しなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。
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業種・規模 |
木材・木製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集94集30頁 |
評釈等情報 |
 
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