概要情報
事件名 |
山水会香椎診療所 |
事件番号 |
福岡地労委 平成 1年(不)第6号
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申立人 |
福岡医療労働組合 |
被申立人 |
医療法人 山水会 |
命令年月日 |
平成 3年10月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会が、(1)人事考課導入についての団交の継続を拒否したこと、(2)組合員への夏季一時金の支払いを拒否したこと、(3)組合員X1に役職を降りること等を強要したこと、(4)組合員X2を病棟から書庫室へ配置転換したことが争われた事件で、(1)については、団交の誠実応諾及び文書掲示を、(2)については、当該一時金がその後支給されたとして、文書掲示のみを、(3)については、X1の原職と同等の処遇及び文書掲示を、(4)については、X2の病棟勤務への復帰及び文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1.被申立人は、申立人に対し、人事考課に関する評価基準を示す等して誠意をもって団体交 渉に応じなければならない。 2.被申立人は、申立人組合員X1を平成元年 3月31日当時と同等に処遇しなければならな い。 3.被申立人は、申立人組合員X2を看護士として病棟勤務へ戻さなければならない。 4.被申立人は、本命令交付後1週間内に次の文書を縦60cm×横40cmの白紙に明瞭に記載し て、被申立人従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 医療法人山水会が行った次の行為は、福岡県地方労働委員会により不当労働行為と判断さ れました。 今後かかる行為のないよう留意します。 (1)福岡医療労働組合の組合員に対し、平成元年夏季一時金の仮払いを拒否したこと。 (2)福岡医療労働組合の組合員X1に対し、平成元年2月、3月にかけてY1院長が看護長 の職責と組織図を書いて提出するよう命じ、同年3月31日Y2理事長が役職を降りるよ う申し入れ、もって同人の承諾を余儀なくさせた行為。 (3)福岡医療労働組合の組合員X2を看護士として病棟勤務へ戻さなかったこと。 平成 年 月 日 福岡医療労働組合 執行委員長 X1殿 医療法人山水会 理事長 Y2 5.申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
病院が夏季一時金の支給率と人事考課再開とを一括妥結しないことを理由に夏季一時金の仮払いを拒否したことが不当労働行為とされた例。
1300 転勤・配転
病院が病棟係長で看護士の組合員X2を書庫室に配置転換したことは、配転時においては必要性、合理性がないとまではいえないが、同人を書庫室に留め置く理由が消失した現状において病棟勤務へ戻していないことは不当労働行為であるとされた例。
1602 精神・生活上の不利益
院長が組合員X1に対し、看護長の職責と組織図を書いて提出しろと命じた行為が不当労働行為であるとされた例。
1200 降格・不昇格
1602 精神・生活上の不利益
理事長が組合員X1に対し、名目上のものとなっていた役職を降りることを余儀なくさせた行為が不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
人事考課の基準は人事権に属する事柄として、その明示や説明を拒んだまま一方的に交渉決裂を宣し、以降の継続交渉を拒否したことが労組法7条2号の不当労働行為に当たるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
本件結審後、労委の斡旋により本件夏季一時金が支給されるに至ったことにより、本件救済としては文書掲示を命じることが相当であるとされた例。
4414 その他の不利益の場合
組合員X1は、名目上とはいえ課長相当職であったのであるから、同相当職に処遇することが適当であるとして、これを命じた例。
5200 除斥期間
病棟係長で看護士の組合員X2を書庫室に留め置く理由が消失した現状において病棟勤務へ戻していないことは組合員であることを理由とする不当労働行為であり、その意思は同人の問題の団交打切り時に顕現したものであり、除斥期間徒過を理由とした却下を求める病院の主張は認められないとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集93集188頁 |
評釈等情報 |
 
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