労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  船場池田商店(団交) 
事件番号  大阪地労委 昭和61年(不)第62号 
大阪地労委 昭和62年(不)第3号 
大阪地労委 昭和62年(不)第52号 
大阪地労委 昭和62年(不)第78号 
申立人  西成合同労働組合 
被申立人  株式会社 船場池田商店 
命令年月日  平成 3年 2月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)定年制の採用及び皆勤手当の支給条件についての団交に誠実に応じなかったこと、(2)就業規則の施行によるとして、組合員X1に対して皆勤手当を支給しなかったこと、(3)組合員X1に対して健康面を配慮せず配送を命じたこと、(4)組合員X2及びX1に対して遠隔地への配送を命じたこと、(5)社長らが組合員X1に対する挑発及び暴行を行ったこと、(6)組合員X2及びX1に対して通勤手当代値上がり分を支給しなかったこと、(7)組合員X1ら4名に対してスト実施を理由に通勤手当の日割り控除を行ったこと、(8)(7)の問題についての団交申入れを拒否したこと、(9)組合員X1ら4名に対して着替えの作業着を貸与しなかったこと、(10)組合員X1ら2名に対して取締役が体を押し付ける等の威圧的行為を行ったことが争われた事件で、(1)について団交応諾及び文書手交、(2)についてX1に対する皆勤手当相当額の支払及び文書手交、(3)について文書手交、(6)について通勤定期代値上がり分相当額の支払い及び文書手交、(7)について控除した通勤手当相当額の支払い及び文書手交、(9)、(10)について文書手交をそれぞれ命じ、(4)、(5)及び(8)については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、昭和61年10月2日に申立人組合から申入れのあった定年制の採用及び皆勤手 当の支給条件についての団体交渉に誠意をもって速やかに応じなければならない。
2 被申立人は、下記金額及びこれに年率5分を乗じた金額を、申立人組合員に対して、それ ぞれ支払わなければならない。
  (1)X3については、昭和61年9月分給与から控除した皆勤手当相当額10,000円並びに昭和   62年5月分給与から控除した同月1日、2日及び同月6日に係る通勤手当相当額
  (2)X4については、昭和62年5月分給与から控除した同月1日、2日及び同月6日に係る   通勤手当相当額
  (3)X2については、昭和62年4月から同年7月までの間の、同人が最寄りの公共交通機関   で通勤する場合に要する通勤定期運賃相当額と既に同人に支給された通勤手当の金額と   の差額
  (4)X1については、昭和62年4月から同年11月までの間の、同人が最寄りの公共交通機関   で通勤する場合に要する通勤定期運賃相当額と既に同人に支給された通勤手当の金額と   の差額

3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                     記
                             平成  年  月  日
   西成合同労働組合
    執行委員長 X5 殿
                       株式会社 船場池田商店
                        代表取締役 Y1
  当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号、第 2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為 を繰り返さないようにいたします。
                      記
  (1)昭和61年9月6日並びに同年10月2日に貴組合から申入れのあった定年制の採用等につ   いての団体交渉に誠実に応じなかったこと
  (2)貴組合員X3氏の昭和61年9月分の給与から皆勤手当10,000円を控除したこと
  (3)昭和62年1月12日、バイク配送要員である貴組合員X1氏に対し、悪天候でかつ寒波の   到来した日に、同氏の健康面について配慮をせず、奈良県大和郡山市の顧客への配送を   命じたこと
  (4)貴組合員X3、同X2、同X1及び同X4の各氏に対し、通勤定期運賃相当額から日割   りで昭和62年5月1日、2日及び同月6日の3日分相当額を控除して同年5月分の通勤   手当を支給したこと
  (5)貴組合員X2及び同X1の両氏に対し、通勤定期運賃の値上がり分相当額を支給しなか   ったこと
  (6)昭和62年春ごろから同年8月28日まで、貴組合員X3、同X2、同X1及び同X4の各   氏に対し、着替えの作業着を貸与しないなどしたこと
  (7)昭和62年5月20日から同月25日までの間、取締役Y2が貴組合員X4及び同X1の両氏   に対し、毎朝、顔を近付け、体を押し付けるなどの威圧的行為をなしたこと
4 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
会社が、就業規則を制定したとして、組合との団交を拒否し、従来の慣行に反して皆勤手当を控除したことが不当労働行為であるとされた例。

1204 スト・カット
会社が組合の行った3日間のストに対し通勤手当を日割で控除したことはストに対する報復措置として行われた不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
組合の抗議を無視し、健康診断で要精検とされた組合員2名を、寒波到来の日、雨中奈良方面に配送を命じたことが不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
3900 「不利益の範囲」
健康診断で要精検とされた組合員2名に対し遠隔地への配送を命じたことが、同人らに具体的な不利益を与えていると認めるに足る疎明がないとして棄却した例。

1301 出向
1601 福利厚生上の差別
会社が組合員2名に対して定期代の値上がり分を支給しなかったのは、会社の定期券のコピーの提出要求に組合が応じなかったことを口実として行ったもので、不当労働行為であるとされた例。

1601 福利厚生上の差別
会社が組合員4名が作業着を着替えられない状態にして夏用の作業着を貸与しなかったこと等が不利益取扱いであるとされた例。

1601 福利厚生上の差別
社長の末弟が、組合員2名がバイク通勤の禁止に従わなかったことに対し、顔を不必要に近づけ、体を押しつけて「帰れ」と述べたことが威圧的行為であるといわざるをえず、不当労働行為であるとされた例。

2300 賃金・労働時間
2301 人事事項
会社が、就業規則を制定したとして本件定年制の施行及び皆勤手当の取扱についての団交に応じなかったことが不当労働行為であるとされた例。

2700 威嚇・暴力行為
社長及びその末弟と組合員X1とのトラブルは、会社と組合が日常的に対立している下において、両人が冷静さを失い、一時の感情から行ったもので、支配介入とまでは認められないとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集92集103頁 
評釈等情報   

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