概要情報
事件名 |
池田商店 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和60年(不)第68号
大阪地労委 昭和60年(不)第71号
大阪地労委 昭和62年(不)第53号
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申立人 |
西成合同労働組合 |
被申立人 |
株式会社 池田商店 |
命令年月日 |
平成 2年12月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員5名の賃金支給に際し、月50時間の残業保障を行わず一方的に賃金体系を変更して残業手当について不利益に取り扱ったこと、(2)腕章着用を理由に、組合員5名に対して警告、就労拒否及び賃金控除を行ったこと、(3)組合員X1に対して昭和61年年末一時金を支給しなかったことが争われた事件で、(1)については、上記組合員のうち2名に対するバックペイ(年5分加算)を、(2)については、上記組合員のうち2名に対する警告就労拒否がなかったものとしての取り扱い及びバックペイ(年5分加算)並びにこれらに関する文書手交を命じ、(1)及び(2)の上記各組合員のうち各3名についての申立て並びに(3)についての申立ては、棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X2及び同X3に対し、昭和60年6月から同61年3月までの間、月50時間残業保障を行ったならば得られたであろう賃金額と既に支払われた金額との差額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X2及び同X3に対し、昭和60年11月25日に行った腕章着用就労に対する警告及び就労拒否をなかったものとして取り扱い、同日分の賃金控除額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 西成合同労働組合 執行委員長 X4 殿 株式会社池田商店 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので陳謝いたします。 記 (1) 貴組合員の昭和60年6月からの賃金支給に際し、月50時間の残業保障を行わず一方的に賃金体系を変更して残業手当を不利益に取り扱ったこと (2) 昭和60年11月25日の貴組合員の就労に際し、腕章着用を理由に警告及び就労拒否を行い、同日分の賃金を控除したこと 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0210 リボン・ワッペン等の着用
腕章着用就労は、勤務時間中の組合活動であり、職務専念義務に違反し原則的には許されないが、一時金についての低額回答の抗議行動として行われ、かつ、労務の提供及び業務の運営に特段の支障が生じさせるものでない場合は、これが一切許されないものとはいえないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
分会結成後、会社が賃金体系を変更して分会員の残業手当を減少させたことが不当労働行為であるとされた例。
1204 スト・カット
1401 労務の受領拒否
分会員が会社の年末一時金についての回答の抗議行動として、腕章を着用して就労しようとしたことに対し会社が警告書を発し、腕章を外さなかった分会員の就労を拒否し、同日分の賃金をカットしたことが不当労働行為であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
X1は、一旦会社を退職し、賞与はない旨の新たな雇用契約により働いていたのであるから、同人に年末一時金を支給しなかったとしても不当労働行為には当たらないとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合脱退者X3及び会社退職者X2については、組合脱退により労委に申し立てた件については一切関係ない等と表明していることから、救済利益を放棄したものとされた例。
5124 その他の審査手続
X1の請求権の放棄はやむを得ない事情によるものとは認められず、これが一旦有効に行われた以上、約70日も経過した後に取り消してもその効果を生じるに由なく、同人に係る申立ては棄却せざるをえないとされた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集91集586頁 |
評釈等情報 |
 
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