概要情報
事件名 |
船場池田商店 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和60年(不)第69号
大阪地労委 昭和61年(不)第22号
大阪地労委 昭和61年(不)第55号
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申立人 |
西成合同労働組合 |
被申立人 |
株式会社 船場池田商店 |
命令年月日 |
平成 2年12月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)腕章等の着用を理由に組合員に本来の業務をさせなかったこと、(2)健康診断で精密検査が必要とされたことを理由に組合員3名の就労を一方的に禁止し、賃金及び皆勤手当をカットしたこと、(3)高血圧症であることを理由に組合員2名の残業を禁止し、協定に基づく残業手当の保障を一方的に打ち切ったこと、(4)社長らが組合員X1に暴力を振るい重傷を負わせたことが争われた事件で、(2)については、上記組合員3名が就労したものとしての取扱い、バックペイ(年5分加算)及び文書手交を、(3)については、上記組合員2名に対するバックペイ(年5分加算)及び文書手交を、(4)については、文書手交を命じ、(1)については、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1、同X2及び同X3が昭和61年3月19日に就労したものとして取り扱い、同人らが受けるはずであった皆勤手当を含む賃金額と既に支払われた金額との差額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X2及び同X3に対し、昭和61年3月分給与以降、同人らの残業を認めるまでの間、月50時間の残業を行った場合に得られる賃金額と、既に支払われた金額との差額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 平成 年 月 日 西成合同労働組合 執行委員長 X4 殿 株式会社船場池田商店 代表取締役 Y1 当社が、行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1) 昭和61年3月19日、貴組合員X1、同X2及び同X3の各氏に対し、健康診断の結果、精密検査が必要であるとされたことを理由として就労を禁止したうえ、同日の賃金及び同月の皆勤手当をカットしたこと (2) 貴組合員X2及び同X3の両氏に対し、昭和61年3月26日以降、高血圧症を理由に、本人の意見も聞かずに残業を禁止し、残業手当の保障を昭和61年3月分の給与から打ち切ったこと (3) 昭和61年7月12日、当社社長らが貴組合員X1氏に対し暴力を振るい、もって同人に重傷を負わせたこと 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0210 リボン・ワッペン等の着用
会社は卸・小売を業とし、組合員は顧客への配送、店頭での小売業務に携わっており、鉢巻き、腕章着用は従業員の服装として異様なものであること、顧客から苦情を受けていることからすると、かかる服装での就労は正当な時間内組合活動とは認められないとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
健康診断の結果精密検査が必要になった組合員3名に休養を命じ、賃金及び皆勤手当をカットのうえ、休業補償として賃金の60%を補償したことが不当労働行為であるとされた例。
1302 就業上の差別
鉢巻き、腕章を着用して就労しようとした組合員に対し、本来の業務をさせなかった会社の措置は不当労働行為とは認められないとされた例。
1302 就業上の差別
組合員2名に対して、高血圧症を理由に突然残業を禁止し、協定に基づく残業手当の保障を一方的に打ち切ったことが不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2613 使用者と取引関係者の言動
2700 威嚇・暴力行為
社長やその弟らと組合員X1とがもみ合いとなった際、会社専従運送業者Z1がX1に負傷を負わせたことが、単なる偶発的な事故ではなく、会社の不当労働行為であるとされた例。
3421 使用者と取引関係者の言動
社長やその弟らと組合員X1とがもみ合いとなった際、会社専従運送業者Z1がX1に重傷を負わせたことが、単なる偶発的な事故ではなく、社長らの意を受けた会社の行為であるとされた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集91集569頁 |
評釈等情報 |
 
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