労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  明治屋(岡山) 
事件番号  岡山地労委 昭和58年(不)第1号 
岡山地労委 昭和59年(不)第1号 
申立人  総評全国一般全明治屋労働組合岡山支部 
被申立人  株式会社 明治屋 
命令年月日  平成 2年12月21日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)昭和57年及び同58年の賃上げ・一時金の考課査定において組合員9名を不利益に取り扱ったこと、(2)組合の団交申入れに誠実に応じなかったこと、(3)団交において合意した事項につき協定書の作成を拒否したことが争われた事件で、(1)については、組合員9名に対する賃上げ・一時金における再査定の実施及びバックペイを、(2)については、団交応諾を、(3)については、団交での合意事項の協定書の作成拒否の禁止を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社明治屋は、申立人組合員X1・X2・X3・X4・X5・X6・X7・X8及びX9(本人死亡につき、その相続人)に対して、昭和57年度賃金引上げ額における査定部分の平均額 1,543円に上記9名の人数を乗じて算出した額を原資として再査定し、この再査定によって影響を受ける昭和57年度賃金引上げ以降のすべての賃金・諸手当・一時金等を改めて計算し、これらとすでに支払われた賃金・諸手当・一時金等との差額を速やかに支払わなければならない。
2 被申立人株式会社明治屋は、申立人組合組合員上記9名に対して、昭和57年夏季一時金における査定部分の平均額37,366円及び同年年末一時金における査定部分の平均額36,507円に、それぞれ上記9名の人数を乗じて算出した各額を原資としてそれぞれ再査定し、すでに支払われた額との差額を速やかに支払わなければならない。
3 被申立人株式会社明治屋は、申立人組合組合員上記9名に対して、昭和58年度賃金引上げ額における査定部分の平均額1,100円に上記9名の人数を乗じて算出した額を原資として再査定し、この再査定によって影響を受ける昭和58年度賃金引上げ以降のすべての賃金・諸手当・一時金等を改めて計算し、これらとすでに支払われた賃金・諸手当・一時金等との差額を速やかに支払わなければならない。
4 被申立人株式会社明治屋は、申立人組合組合員上記9名に対して、昭和58年夏季一時金における査定部分の平均額38,553円及び同年年末一時金における査定部分の平均額37,948円に、それぞれ上記9名の人数を乗じて算出した各額を原資としてそれぞれ再査定し、すでに支払われた額との差額を速やかに支払わなければならない。
5 被申立人株式会社明治屋は、申立人組合の申し入れた団体交渉に直ちに誠意をもって応じなければならない。また、団体交渉において合意した労働条件については、協定書の作成を拒否してはならない。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
昭和57年、同58年の賃上げ及び各一時金の人事考課において、組合員9名を低く査定したことが不当労働行為であるとされた例。

2245 引き延ばし
2246 併存団体との関係
少数組合である組合からの三六協定締結に関する団交要求に対して、多数組合と締結した協定内容を説明するのみであったこと等の支店の対応が、実質的に団交に応じたものとはいえず、労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2300 賃金・労働時間
本件団交申入れは組合員にとって重要な労働条件の一つである休日出勤の具体的運用基準に関するもので、団交事項となるものであるとされた例。

2252 署名・調印拒否
組合の協定締結要求事項のうち合意が成立している事項について会社が協定締結に応じないことは、誠意を欠いたもので、労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
4811 労組法7条3号(個人申立)の場合
審査中死亡した元組合員の受けた不利益は可能な範囲において是正させることが団結権保障という制度の目的に沿うものであるとして、相続人に対して差別査定是正後の差額賃金等の相当額の支払いを命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
本件賃上げ、一時金等の差別査定については、組合間差別のないように一定の枠を設け再査定させることが適切であるとされた例。

4905 経営補助者
組合が本件の被申立人としている岡山支店は会社の組織の構成部分にすぎないとして、同支店に対する申立てを却下した例。

5201 継続する行為
合意事項の協定化要求をめぐる争いが継続している場合には、団交要求から協定締結要求に至る組合の行為とこれに対する会社の対応は継続性を有するので、本件申立ては除斥期間にはかからないとされた例。

5200 除斥期間
組合の三六協定締結申入れについての労使間のやりとりは、支店の拒否回答で終っており、申立時においてすでに1年を経過しているとして却下された例。

5200 除斥期間
中元繁忙期対策についての団交拒否問題は、支店の拒否回答で労使間のやりとりは終っており、申立時においてすでに1年を経過しているとして却下された例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集91集544頁 
評釈等情報   

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