概要情報
事件名 |
明治屋(石川) |
事件番号 |
石川地労委 平成 1年(不)第4号
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申立人 |
総評全国一般全明治屋労働組合 |
申立人 |
総評全国一般全明治屋労働組合金沢支部 |
被申立人 |
株式会社 明治屋 |
命令年月日 |
平成 2年11月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員に対し昭和63年度の昇給及び賞与の査定差別を行ったこと、(2)組合員に対し昇格・昇級差別を行ったこと、(3)録音機持込みを理由に団交を拒否していること、(4)寒冷地手当に関する団交で不誠実な対応をとったこと、(5)4WD車購入に関する団交で不誠実な対応をとったこと、(6)団交のための旅行日について賃金カットを行ったことが争われた事件で、(1)については、組合員7名に対する昇給の査定金額の是正及びバックペイ、組合員4名に対する賞与の査定金額の是正及びバックペイ、文書交付及び履行報告を、(2)及び(5)については、文書交付及び履行報告を命じ、(2)の昭和63年5月28日以前の昇格・昇級に係る申立てについては却下し、(3)、(4)及び(6)については、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合に所属する組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7の昭和63年度の昇給の査定金額を、昭和63年4月1日に遡及して 1,212円に是正し、この是正により変更を生じた賃金の額を修正するとともに、既に支払った賃金との差額を同人らに対して速やかに支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合に所属する組合員X1、X5、X6及びX7の昭和63年度の中元賞与と年末賞与の査定金額を、それぞれ44,690円と43,781円に是正し、是正した金額と既に支払った金額との差額を同人らに対して速やかに支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人2組合それぞれに対し、速やかに別掲の文書を交付しなければならない。 4 被申立人は、前記1から3までの各項の履行結果を、当委員会に文書で速やかに報告しなければならない。 5 申立人らの昭和63年5月28日以前の昇格、昇級に係る申立ては、これを却下する。 6 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 別掲 平成 年 月 日 総評全国一般全明治屋労働組合 中央執行委員長 X8 殿 総評全国一般全明治屋労働組合金沢支部 執行委員長 X4 殿 株式会社 明 治 屋 代表取締役 Y1 このたび、当社が行った下記1と2の行為は労働組合法第7条第1号及び第3号に、また、下記の3の行為は同第2号に、各々該当する不当労働行為であると、石川県地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為のないように留意します。 記 1.昭和63年度の昇給、賞与の査定において貴組合員を不利益に取り扱ったこと。 2.平成元年3月の昇格、昇級において貴組合員を不利益に取り扱ったこと。 3.昭和63年12月1日に開催された金沢支部との団体交渉において、4WD車導入問題に関して不誠実な交渉態度をとったこと。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
昭和63年度昇給、各一時金査定において、組合員に対し所属支店非組合員査定平均額を下回る査定を行ったことが不当労働行為であるとされた例。
1200 降格・不昇格
平成元年3月の昇格、昇級時期に組合員を係長、係長待遇職等に昇格、昇級させなかったことが不当労働行為であるとされた例。
1204 スト・カット
団交のための旅行日の賃金の取扱いを変更した際に、会社は具体的基準を明らかにしており、本件賃金カットに関する旅行日の認定も合理的である等からして、団交旅行日に係わる本件の賃金の一部カットは不当労働行為ではないとされた例。
2249 その他使用者の態度
寒冷地手当について支部交渉で、会社が組合から事実に反する発言であるとの指摘をうけながら訂正をしないからといって、これをもって不誠実な交渉態度とはいえないとされた例。
2249 その他使用者の態度
4WD車導入に関する団交において支店長が他支店の状況を誤って発言したことは、調査を十分に行わず安易な態度で支部交渉に臨んだもので、不誠実な交渉態度であるとされた例。
2400 その他
会社支店が、組合が団交にテープレコーダーを持ち込むことを理由に団交を拒否したことが不当労働行為ではないとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
昭和63年度の各査定について、組合が所属支店非組合員査定平均額への一律是正を請求したのに対して、会社査定平均額への一律是正が相当であるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
本件昇格、昇級差別の救済対象者については、すでに別件で過去の時点において既にそれぞれ相当級への是正を命じているとして、文書手交のみを命じた例。
4505 その他
申立人らは団交に当たっては誠意をもって応じるよう求めるが、寒冷地手当問題、4WD車導入問題については再度交渉を申し入れておらず、また、他支店と同数の4WD車が導入されていること等からして文書交付に止めるのが相当とされた例。
5008 その他
一定の職制の地位につけることを命じることは救済命令の発しえる範囲を逸脱しているとの会社の主張に対し、使用者による人事権の行使も不当労働行為の法理による制約を免れるものではなく、労働委員会は昇格について具体的な是正を命じうるとされた例。
5001 将来における予防、不特定な内容の請求
求める救済内容が抽象的である等との会社の主張に対し、申立書にいう「請求する救済の内容」は、労委が救済命令を発する場合の目途となるもので十分であるとして、これが斥けられた例。
5200 除斥期間
会社の昇格、昇級行為は、その都度独立した1回限りの行為と解するのが相当であり、本件申立時から1年以上前に遡及して救済を求める部分が却下された例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集91集330頁 |
評釈等情報 |
 
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