概要情報
事件名 |
日本シェーリング(63年一時金) |
事件番号 |
大阪地労委 平成 1年(不)第26号
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申立人 |
化学一般日本シェーリング労働組合 |
被申立人 |
日本シェーリング 株式会社 |
命令年月日 |
平成 2年10月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員に対して昭和63年夏季・冬季一時金の査定差別をしたこと、(2)前記一時金等に係る団交において団交期日の設定及び会社回答を根拠づける資料の提出、説明などに関し誠意をもって交渉に応じなかったこと、(3)団交申入れに対して、団交の日時、交渉時間、場所、出席人員及び議題を指定して、これを組合が応諾しない限り団交を行わないとの態度をとったこと、(4)賃上げ・一時金の協定締結に際し、差違い条項を組合が受け入れることを条件としたことが争われた事件で、(1)については、査定差別の是正、バックペイ(年5分加算)及び文書掲示を、(2)については、文書掲示を命じ、(3)については、昭和58年中労委命令の不履行状態が続いているものであり、改めて判断するまでもないとして申立てを却下し、(4)については、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員に対し、昭和63年夏季一時金及び同年冬季一時金を次のとおり是正し、これにより算出した額から既に支払った額を控除した額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。(1) 申立人組合員の平均支給月数が、昭和63年夏季一時金については3.16か月、同年冬季一時金については3.94か月に一律 8,000円を加えたものを下回らないように再査定すること (2) 上記(1)の再査定は、既に申立人組合員各人に支払った額を下回らない限度において行うこと 2 被申立人は、 1.5メートル×3メートル大の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 化学一般日本シェーリング労働組合 執行委員長 X1 殿 日本シェーリング株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1) 昭和63年夏季一時金及び同年冬季一時金において、貴組合員を不当に低く査定して不利益に取り扱ったこと (2) 前記一時金等に係る貴組合からの要求について、団体交渉期日の設定及び会社回答を根拠づける資料の提出、説明などに関し誠意をもって交渉に応じなかったこと 3 申立人の団体交渉に係る日時、交渉時間、場所、出席人員及び議題に関する申立ては却下する。 4 被申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
組合員に対する本件一時金の平均支給月数を別組合員に比べて格差を設けたことが不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2245 引き延ばし
昭和63年一時金等に係る団交において、会社が開催期日を遅らせたり、会社回答につき何ら説明をしない等の態度をみせたことは、誠意ある対応とはいえないとされた例。
2244 特定条件の固執
昭和63年度賃上げ及び一時金協定締結に際し、妥結月払条項、スト中止条項、業務効率等協力条項及びゼロ回答事項等の差違い条項を受け入れることを条件としたことは不当労働行為ではないとされた例。
4415 賃金是正を命じた例
本件一時金差別支給の救済として、組合員の平均支給月数が協定上の支給月数を少なくとも下回らないよう是正するよう命じた例。
4505 その他
団交議題に係る資料提出要求拒否の禁止については、団交で使用者が提出すべき必要資料はその都度異なるものであるので将来にわたる抽象的な命令は適当でなく、文書掲示命令が相当とされた例。
5147 その他
会社の本件一時金に係る団交態度は、昭和58年に中労委が別件で誠意をもって団交を行うよう命じた命令の不履行状態が続いているもので、改めて判断するまでもないとして申立てを却下した例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集91集280頁 |
評釈等情報 |
 
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