労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(上野車掌区配属等) 
事件番号  東京地労委 昭和62年(不)第76号 
申立人  国鉄労働組合東京地方本部上野支部 
申立人  国鉄労働組合東京地方本部上野支部上野車掌区分会 外2名 
申立人  国鉄労働組合東京地方本部 
被申立人  東日本旅客鉄道 株式会社 
命令年月日  平成 2年10月 2日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、分会の青年部長X1及び青年部書記長X2に対して本来業務から外す各発令(兼務・在勤・配転・出向発令)を行ったことが争われた事件で、X1に対する各発令がなかったものとしての取扱い及び原職復帰、X2に対する各発令がなかったものとしての取扱い、文書掲示を命じ、併せて上記命令の履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合東京地方本部上野支部上野車掌区分会に所属する申立人X1および同X2に対し、次の措置を講じなければならない。
(1) 申立人X1については、設立委員のなした別表記載の昭和62年4月1日付配属通知による兼務発令及び被申立人会社のなした同じく別表記載の同年5月20日付兼務発令、同年6月2日付在勤発令、同年6月26日付配転・兼務命令、63年4月21日付配転発令がいずれもなかったものとして取扱い、別表「原職に相当する所属・職名」欄記載の松戸車掌区車掌に復帰させること。
(2) 申立人X2については、設立委員のなした別表記載の昭和62年4月1日付配属通知による兼務発令および被申立人会社のなした同じく別表記載の同年5月20日付兼務発令、同年6月2日付在勤発令、同年7月10日付出向発令がいずれもなかったものとして取扱うこと。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記文書を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の本社正面玄関および松戸車掌区の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
                記
                平成  年  月  日
国鉄労働組合東京地方本部
 地方執行委員長 X3 殿
国鉄労働組合東京地方本部上野支部
 支部執行委員長 X4 殿
国鉄労働組合東京地方本部上野支部上野車掌区分会
 執行委員長   X5 殿
             東日本旅客鉄道株式会社
              代表取締役 Y1
 当社が、昭和62年4月1日付ないしそれ以降63年4月21日までの間、貴組合所属の組合員X1氏および同X2氏に対して行った都労委昭和62年不第76号事件に係る発令(兼務発令・配転発令・出向発令)は、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を掲示した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
組合員X1に対し、設立委員のなした昭和62年4月1日付配属通知による兼務発令並びに会社のなした同年5月20日付兼務発令、同年6月2日付在勤発令、同月26日付配転・兼務発令及び同63年4月21日付配転発令の各発令が不当労働行為であるとされた例。

1301 出向
1302 就業上の差別
組合員X2に対し、設立委員のなした昭和62年4月1日付配属通知による兼務発令並びに会社のなした同年5月20日付兼務発令、同年6月2日付在勤発令及び同63年7月10日付出向発令の各発令が不当労働行為であるとされた例。

3411 その他の従業員の言動
4911 解散事業における使用者
国鉄が行った兼務発令が差別取扱いないし支配介入に当たるとすれば、それは設立委員の不当労働行為であり、国鉄改革法23条5項の考え方は採用と密接に関連して行う配属についても及ぼされるべきであるから、上記不当労働行為について会社は責を免れないとされた例。

3900 「不利益の範囲」
本件各発令によって車掌業務から単純素朴な業務に従事させることは、技能・経験を生かすことができず、精神的苦痛を伴うと推認され、賃金面でも不利益を受けているとされた例。

4200 組合解散・消滅
本件申立人X2は本務に復帰したが、撤回されるべき発令のなされていた期間内の身分上の地位の回復とそれに伴う賃金上の不利益の回復等については、なお救済利益は消滅したものとはいえないとされた例。

4412 出向の場合
現在、すでに本務に復帰しているX2については、本件各発令がなかったものとして取り扱うよう命じるに止めた例。

4820 単一組織の支部・分会等
申立人3組合は、それぞれ独自の規約・会計、執行機関を有しており、固有の活動をしていることが認められるとして、申立人適格を有するとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集91集89頁 
評釈等情報   

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