労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  善導寺運送 
事件番号  福岡地労委 昭和63年(不)第19号 
申立人  全日本運輸一般労働組合福岡地方本部 
被申立人  善導寺運送 株式会社 
命令年月日  平成 2年 8月23日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合員X1ら4名に対する出勤停止処分、(2)組合員らに対する担当車両の取上げ、長距離業務差別及びトラック乗務拒否、(3)別組合員による組合員への暴力行為についての不適切措置、(4)組合員X2に対する異動・出張命令、(5)団交拒否をそれぞれ行ったことが争われた事件で、(1)について出勤停止処分の取消し及びバックペイを、(2)について組合員に対する他の従業員との業務差別の禁止及びバックペイを、(1)(2)(3)について文書掲示を命じ、(4)及び(5)については申立てを棄却した。 
命令主文  主  文
1 被申立人は、次表に掲げる各出勤停止処分を取り消し、処分がなかったものとして取り扱うとともに、各被処分者に対し各処分がなければ得べかりし賃金相当額を支払わなければならない。
  (次表略)
  
2 被申立人は、申立人組合善導寺分会に所属する組合員に対し、他の従業員と業務を差別してはならない。
3 被申立人は、X1、X2、X3、X4及びX5に対し、昭和63年5月以降主文第2項が履行される迄の間において同人らに支払われた月例給与の内の課税支給額(但し、安全管理手当、精皆勤手当及び役付手当を除く)及び一時金について、同人らと同種の従業員の平均額を基準として算定される額との差額相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に下記の文書を縦1メートル、横1.5メートルの白紙に明瞭に記載して、被申立人会社事務室内の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
              記
 会社が、貴組合分会員に対し行った次表に掲げる出勤停止処分、業務差別措置及び丸善グループ労働組合員による分会員に対する暴力行為について会社が適切な措置を講じなかったことは、福岡県地方労働委員会によって不当労働行為と判断されました。ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないよう誓約します。
  被処分者氏名 出勤停止処分日
  X1 昭和63年4月18日から同月27日迄
     昭和63年5月24日から翌月2日迄
     昭和63年6月28日から翌月7日迄
     昭和63年10月26日から翌月4日迄
     昭和63年11月7日から同月16日迄

  X3 昭和63年5月20日から同月29日迄
  X2 昭和63年10月26日から翌月4日迄
     昭和63年11月7日から同月16日迄

  X4 昭和63年10月26日から翌月4日迄
     昭和63年11月7日から同月16日迄
                            平成 年 月 日
全日本運輸一般労働組合福岡地方本部
 執行委員長 X6 殿
                善導寺運送株式会社
                 代表取締役 Y1
5 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
分会が配布したビラは、その内容、場所等からみて、本件事情のもとでは、組合活動の範囲を逸脱するものとはいえないとされた例。

1300 転勤・配転
副分会長X2に対して、長距離業務から外れることとなる営業所に転勤を命じたことが不当労働行為には該当しないとされた例。

1301 出向
副分会長X2に対して、別会社へ出張を命じたことが不当労働行為に該当しないとされた例。

1302 就業上の差別
会社が分会員らの受持ち車両を取り上げたり長距離業務に従事する回数を減少させたことが不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
分会が取引先の職員を中傷誹謗したビラを配布したため取引先から分会員らが謝絶されたとして分会員の乗務を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
業務命令拒否、無断欠勤及び無届無許可早退に対し反省を示さなかったことを理由に分会書記長を10日間の出勤停止処分に付したことには相当性がないとされた例。

1400 制裁処分
長距離運行後、帰路にあたって会社に連絡しなかったことが業務放棄であるとして10日間の出勤停止処分に付するのは相当でないとされた例。

1400 制裁処分
地場業務に従事し深夜帰社後、同日出社しなかったことをもって、10日間の出勤停止処分に付したことが社会的相当性に欠けるとされた例。

1400 制裁処分
分会書記長が組合活動を理由に午前4時から乗務するようにとの業務命令を拒否したこと等を理由に出勤停止処分に付したことが、当時の会社の対応等からみて合理的理由がないとされた例。

1400 制裁処分
休暇戦術に参加するため分会書記長が口頭で休暇申請をした後何らの連絡をとることなく一週間の欠勤に及んだことは、従業員として非難されるべきであり、本件出勤停止処分は不当労働行為には該当しないとされた例。

1400 制裁処分
荷降し忘れをした分会書記長を出勤停止処分に付したことが乗務員として、その基本的責務に反するもので、本件出勤停止処分は不当労働行為にあたらないとされた例。

1400 制裁処分
会社の重要な取引先である農協職員を誹謗中傷するビラの配布を企画指導したとして分会三役を2回にわたり10日間の出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。

2213 交渉人数
会社が、組合側団交要員数についての条件に固執して団交を拒否し続けているとの主張が斥けられた例。

2216 その他
分会結成当時の要求についての労使双方の対応、団交の持ち方について不慣れや頑なな態度に起因した行き違いがあるがこのことをもって不当労働行為とまではいえないとされた例。

3106 その他の行為
分会と別組合との対立を放置し、別組合員の分会員に対する威迫や暴力行為について適切な措置を怠ったことが支配介入にあたるとされた例。

3900 「不利益の範囲」
長距離業務従事回数の減少は、賃金の減少を来たすもので、不利益性がみとめられるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
4414 その他の不利益の場合
業務差別の救済として、会社に対して業務差別の禁止と、業務差別により影響される賃金部分を対象として、同人らに支払われた額と同人らと同種の従業員に支払われた平均額との差額相当額の支払いを命じた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集90集575頁 
評釈等情報   

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