概要情報
事件名 |
東筑波カントリークラブ |
事件番号 |
茨城地労委 昭和60年(不)第3号
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申立人 |
合化労連化学一般関東地方本部東筑波カントリークラブ分会 |
被申立人 |
株式会社 東筑波カントリークラブ |
命令年月日 |
平成 2年 6月27日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員に対し、職制等を使い組合からの脱退を慫慂したこと、(2)組合員が利用していたキャディ送迎バスを廃止したこと、(4)降雪時の出勤命令を拒否したことを理由に組合員ら17名に対して出勤停止処分を行ったことが争われた事件で、(1)職制等を使っての組合からの脱退慫慂等による支配介入の禁止、(2)キャディ送迎バスを廃止したり、組合員が審問を傍聴したことを理由に就労を拒否するなどによる組合員に対する不利益取扱いの禁止、(3)審問を傍聴したことを理由に就労を拒否された組合員X1に対するバックペイ、(4)組合員ら17名に対する出勤停止処分の取消し及びバックペイ、(5)文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人株式会社東筑波カントリークラブは、申立人合化労連化学一般関東地方本部東筑波カントリークラブ分会分会員に対し、職制等を使い申立人からの脱退を慫慂するなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、申立人分会員が利用していたキャディ送迎バスを廃止するなどして、申立人分会員を不利益に取り扱ってはならない。 3 被申立人は、申立人分会員らが本件審問を傍聴したことを理由に就労を拒否するなどして、申立人分会員を不利益に取り扱ってはならない。 4 被申立人は、申立人分会員X1に対し、同人が昭和61年9月13日に就労したならば得たであろう賃金相当額を支払わなければならない。 5 被申立人は、昭和63年3月10日及び同月16日に別表記載の者に対して行った出勤停止処分を取り消すとともに、同人らが就労したならば得たであろう賃金相当額を支払わなければならない。 6 被申立人は、本命令受領後7日以内に、縦1メートル、横 1.5メートルの白紙に下記の文言を鮮明に記述し、被申立人のゴルフコース東筑波カントリークラブのクラブハウス玄関の見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示しなければならない。 記 誓 約 書 当社が、貴分会員らに対し、職制等を使い分会からの脱退を慫慂するなどして分会の自主的運営を妨害し、分会の弱体化を図ったことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると、茨城県地方労働委員会において認定されました。 よって、当社は、ここにその責任を認め、再びこのような行為を繰り返さないことを誓約します。 平成 年 月 日 合化労連化学一般関東地方本部 東筑波カントリークラブ分会 分 会 長 X2 殿 株式会社 東筑波カントリークラブ 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
申立人分会員X1が審問を傍聴した翌日にキャディ業務に就けなかったことが不利益取扱であるとされた例。
1400 制裁処分
降雪によるゴルフ場閉鎖の際、申立人分会員キャディに対してのみ出勤を命じ、同命令を拒否した申立人分会員を出勤停止処分に付したことが不利益取扱いであるとされた例。
1601 福利厚生上の差別
会社は、申立人組合に対して事前に何の説明も行わずに、申立人分会員全員が利用するキャディ送迎バスを廃止したことが不利益取扱いであるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
キャディーマスター室員Y2及び総務課長Y3両名による申立人分会員に対する脱退勧誘は支配介入にあたるとされた例。
2613 使用者と取引関係者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
別会社の従業員Y4による申立人分会員X3に対する組合脱退勧誘が支配介入にあたるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社のキャディマスターが分会副委員長の自宅を訪問し、組合脱退を勧誘したことが支配介入にあたるとされた例。
2613 使用者と取引関係者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
取引先社長が分会長に対して組合脱退を勧誘したことが支配介入にあたるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
キャディーマスター室員Y2及び総務課長Y3による申立人分会員に対する脱退勧誘が会社の意を体して行われた支配介入であるとされた例。
3421 使用者と取引関係者の言動
別会社の従業員Y4による組合脱退勧誘が会社の意を体して行われた支配介入であるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
会社のキャディマスターが分会副委員長の自宅を訪問し、組合脱退を勧誘したことが会社の意を体して行われた支配介入であるとされた例。
3421 使用者と取引関係者の言動
取引先社長が分会長に対して組合脱退を勧誘したことが、会社との間に意思の連絡があった行為であるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
審問傍聴のため欠勤した申立人分会員X1を叱責した課長らは、X1らキャディを統括管理する立場にあることから、同人らの行為は会社の意志によるものと判断された例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
出勤停止処分の取消しの請求に関し、申立人は組合脱退者についての救済利益を放棄する旨の意志表示をしていないことから救済の対象とされた例。
5008 その他
申立人分会員に対する出勤停止処分に関し、申立人は、処分の取消しを求めているが、申立人が求めている救済の趣旨からすれば、バックペイをも含むと解されるとされた例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集90集348頁 |
評釈等情報 |
 
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