概要情報
事件名 |
平和第一交通(組合旗) |
事件番号 |
福岡地労委 昭和61年(不)第18号
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申立人 |
平和タクシー労働組合 |
被申立人 |
平和第一交通 有限会社 |
命令年月日 |
平成 2年 5月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員に対して行った(1)組合旗掲揚を理由とする懲戒処分、(2)教育研修拒否を理由とする懲戒処分、(3)車両点検不十分を理由とする懲戒処分、(4)職場離脱を理由とする懲戒処分、(5)勤務不良を理由とする懲戒処分、(6)無届欠勤を理由とする懲戒処分、(7)録音用ラジカセの点呼持込みを理由とする懲戒処分が、争われた事件で、(1)、(2)、(4)、(6)及び(7)について、各懲戒処分の撤回、バックペイ及び文書掲示を命じ、(3)及び(5)については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、主文別表に掲げる各懲戒処分を撤回し、各被処分者に対し、各懲戒処分がなければ得べかりし賃金相当額と既支給の賃金額との差額を支払わなければならない。 2 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に下記の文書を縦1メートル、横 1.5メートルの白紙に明瞭に記載して、被申立人会社の点呼室の従業員見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 会社が貴組合の組合員に対して行った組合旗掲揚を理由とする懲戒処分、組合旗掲揚を行った者に対する教育研修命令拒否を理由とする懲戒処分、職場離脱を理由とする懲戒処分、無届欠勤を理由とする懲戒処分及び録音用ラジカセの点呼持込みを理由とする懲戒処分は、福岡県地方労働委員会により労働組合法第7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認定されました。よって、今後このような行為を繰り返さないように致します。 平成 年 月 日 平和タクシー労働組合 執行委員長 X1 殿 平和第一交通有限会社 代表取締役 Y1 3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 (主文別表略) |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
組合員28名に対し会社施設内に無許可で組合旗を掲揚したことを理由に乗務停止及び出勤停止の懲戒処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
無許可で組合旗を掲揚した組合員らに対する再救済を目的とした教育研修を拒否したことを理由に同人らを出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
クラッチオイルの仕業点検不履行を理由に組合員X2を出勤停止処分に付したことが不当労働行為はないとされた例。
1400 制裁処分
乗務中腹痛におそわれ担当車を離れて静養していた組合員X3に対し、担当車を引き上げ出勤停止処分に付したことは苛酷にすぎ不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
職場放棄と釈明不十分を理由に組合員X4を出勤停止処分に付したことが不当労働行為ではないとされた例。
1400 制裁処分
無届欠勤を理由に組合員X2を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
乗務点呼の場に録音用ラジカセを持ち込んだことを理由に組合員X4を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合が一貫して身分一新制度に反対の態度をとり続けているなかで、この制度に応じて再雇用され、組合と対立する立場に変った2名について各懲戒処分の撤回及びバックペイを命ずる必要を認めないとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
退職による組合脱退者7名については、組合が同人らの懲戒処分に伴う金銭的不利益につき補償を行っている等の事実の疎明がないので、同人らに付する各懲戒処分の撤回及びバックペイを命ずる必要を認めないとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
本件バックペイの算定方法は、救済対象とされる懲戒処分の属する月の被処分者毎の1実乗務当たりの平均運転額を算出してこれをもとに賃金月額を算定し既支給額との差額を命じた例。
4611 P.Nの掲示の場所を配慮した例
会社が懲戒処分を連発することによっても支配介入を行ったと認められるので、ポスト・ノーティスを命じることが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集90集191頁 |
評釈等情報 |
 
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