労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本抵抗器製作所(福光製作所) 
事件番号  富山地労委 昭和63年(不)第1号 
申立人  全国金属機械労働組合富山地方本部日本抵抗器支部 
申立人  全国金属機械労働組合富山地方本部 
被申立人  株式会社 日本抵抗器製作所 
被申立人  有限会社 福光製作所 
命令年月日  平成 2年 4月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  日本抵抗器又は福光製作所が、組合員77名を指名解雇したことが争われた事件で、同社らに対し、組合員67名の解雇がなかったものとしての取扱い(原職復帰、バックペイ、復帰するまでに定年に達した者に対する定年退職の措置等)、文書手交・掲示を命じ、申立後自主退職した組合員10名に対する解雇については文書手交・掲示のみを命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社日本抵抗器製作所は、申立人全国金属機械労働組合富山地方本部日本抵抗器支部に所属する別紙目録1及び2記載の同社従業員に対し、昭和62年12月29日付け解雇がなかったものとして、次の措置を行わなければならない。
(1) 原職(又は原職相当職)に復帰させること。
 なお、復帰の具体的方法に関し、申立人らから協議ないし団体交渉の申入れを受けた場合は誠実にこれに応じること。
(2) 前記解雇以降原職(又は原職相当職)に復帰するまでの間、同人らが受けるはずであった諸給与相当額を支払うこと。
(3) 同人らのうち、前記(1)により復帰するまでの間に定年に達した者については、定年退職の措置をとること。
2 被申立人株式会社日本抵抗器製作所及び同有限会社福光製作所は、申立人全国金属機械労働組合富山地方本部日本抵抗器支部に所属する別紙目録1及び2記載の有限会社福光製作所従業員に対し、昭和62年12月29日付け解雇がなかったものとして、次の措置を行わなければならない。
(1) 原職(又は原職相当職)に復帰させること。
 なお、復帰の具体的方法に関し、申立人らから協議ないし団体交渉の申入れを受けた場合は誠実にこれに応じること。
(2) 前記解雇以降原職(又は原職相当職)に復帰するまでの間、同人らが受けるはずであった諸給与相当額を支払うこと。
3 被申立人株式会社日本抵抗器製作所及び同有限会社福光製作所は、本命令受領の日から1週間以内に下記のとおりの誓約文を申立人全国金属機械労働組合富山地方本部及び同全国金属機械労働組合富山地方本部日本抵抗器支部に手交するとともに、被申立人株式会社日本抵抗器製作所の社屋正面玄関に毀損することなく10日間掲示しなければならない。
                記
             誓  約  文
                    年  月  日
全国金属機械労働組合富山地方本部
執行委員長 X1 殿
全国金属機械労働組合富山地方本部
日本抵抗器支部
執行委員長 X2 殿
               株式会社日本抵抗器製作所
               代表取締役 Y1
 当社が行った貴労働組合所属の別紙目録1、2、3及び4記載の当社従業員に対する昭和62年12月29日付け解雇は、貴労働組合に対する不利益取扱いであり、組合運営に支配介入した不当労働行為であると富山県地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう誓約します。
(注;(1)年月日は誓約文を手交又は掲示した日を記載すること。(2)誓約文の手交及び掲示に際しては、別紙目録1、2、3及び4を付けること。(3)掲示に当たっては、日本工業規格B列1番の白紙を用いること。)
             誓  約  文
                    年  月  日
全国金属機械労働組合富山地方本部
執行委員長 X1 殿
全国金属機械労働組合富山地方本部
日本抵抗器支部
執行委員長 X2 殿
               株式会社日本抵抗器製作所
               代表取締役 Y1
               有限会社福光製作所
               代表取締役 Y1
 当社が行った貴労働組合所属の別紙目録1、2、3及び4記載の有限会社福光製作所従業員に対する昭和62年12月29日付け解雇は、貴労働組合員に対する不利益取扱いであり、組合運営に支配介入した不当労働行為であると富山県地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう誓約します。
(注;(1)年月日は誓約文を手交又は掲示した日を記載すること。(2)誓約文の手交及び掲示に際しては、別紙目録1、2、3及び4を付けること。(3)掲示に当たっては、日本工業規格B列1番の白紙を用いること。)
4 申立人らのその余の請求は、これを棄却する。 
判定の要旨  2000 人員整理
会社の経営危機に伴う合理化の一環として支部組合員を指名解雇したことが不当労働行為であるとされた例。

4900 請負・委任・派遣契約
従業員の就労実態、出資、役員の兼任状況等から、被申立人N社は同F社と実質的に同一であって、支部組合員らの労働関係上の諸利益に対し、具体的・現実的支配力を行っているとして、F社従業員の本件解雇について、両社あて原職復帰等を命じた例。

4000 退職金等の受領
4421 文書掲示等を命じた例
X3ら10名は、本件指名解雇後、これに異議を唱えることなく退職金を受領していることから自主退職したものと認められ、同人らに関する救済は文書手交・掲示の命令が相当とされた例。

4000 退職金等の受領
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
X4ら12名は、一旦受領した退職金を支部を通じて会社に返還を申し出ており、また、同人らが争う意思を放棄したとも認められないので被救済利益がないとはいえないとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
本件指名解雇事件の審査中の定年到達者に関する救済として、定年までのバック・ペイと定年退職に伴う措置を命じた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
4417 条件付命令・協議命令
本件指名解雇の救済として原職(又は原職相当職)を命ずるが、その具体的方法は労使の協議により調整をすることが妥当であるとされた例。

4405 バックペイから他収入控除
本件指名解雇により解雇された者が、他に就業しなにがしかの賃金を得ているとしても、会社に勤務すると同等以上でないことが推認され、また、同人らが受けた精神的苦痛、組合の運営に与えた制約的効果を考慮すると、いわゆる中間収入を控除しないことが相当であるとされた例。

4830 代表者
支部執行委員長X2は代表資格を欠いているとの主張が斥けられた例。

5121 挙証・採証
本件指名解雇事件は、執行部支持派であるが故に指名解雇されたとの申立てであるから、執行部派と反執行部派とを比較した、いわゆる大量観察方式をとらざるを得ないとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集89集686頁 
評釈等情報   

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