概要情報
事件名 |
愛徳福祉会 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和63年(不)第15号
大阪地労委 昭和63年(不)第16号
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申立人 |
全国福祉保育労働組合大阪地方本部 |
被申立人 |
社会福祉法人 愛徳福祉会 |
命令年月日 |
平成 1年11月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
福祉会の、(1)団交の出席者等の制限及び団交拒否、(2)組合ビラ配布等の禁止、(3)市との交渉に参加する組合員の職務免除の拒否、(4)施設利用の拒否、(5)就業規則の改訂及び労働条件の一方的変更、(6)組合活動家の一方的配転が争われた事件で、(1)及び(4)については文書手交、(5)については就業規則の適用に当たり正当な組合活動を抑制するような運用の禁止及び文書手交、(6)については5名の配転撤回、組合との協議及び文書手交を命じ、(2)及び(3)については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、就業規則(昭和63年4月1日改定)の第22条(9)号、(10)号、同第61条(13)号 及び(14)号を申立人組合加盟の南大阪療育園職員組合の組合員に適用するに当たっては、正 当な組合活動を抑制するような運用をしてはならない。 2 被申立人は、昭和63年4月1日付で行った申立人組合員X1、同X2、同X3、同X4及 び同X5に対する配置転換を取り消し、本件配転問題については申立人加盟組合の南大阪療 育園職員組合と協議しなければならない。 3 被申立人は、申立人らに対して下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全国福祉保育労働組合大阪地方本部 執行委員長 X6 殿 全国福祉保育労働組合大阪地方本部 南大阪療育園職員組合 執行委員長 X7 殿 社会福祉法人愛徳福祉会 理事長 Y1 当法人が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第2号 及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰 り返さないようにいたします。 記 (1) 昭和62年10月21日以降、貴組合から申入れのあった昭和63年3月16日までの団体交渉に ついて、出席者の資格及び交渉事項を不当に制限したこと (2) 貴組合の職場集会以外の学習会等に施設の利用を許可しなかったこと (3) 就業規則改定に際し、貴組合と十分協議しなかったこと (4) 昭和63年あさしお園の人員削減について事前協議を行うことなく、昭和63年4月1日付 で貴組合員X1、同X2、同X3、同X4及び同X5の各氏を一方的に配置転換したこと 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2213 交渉人数
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
園は、組合との団交について、交渉人数を10名前後とする人数制限は必ずしも不当とはいえないが、交渉出席者を役員あるいは執行委員に限定すること自体支配介入であるとともに団交拒否に当たるとされた例。
2300 賃金・労働時間
2304 経営事項
常勤医師の配置、医師の在園当直等に関する組合側の団交申入れに対し、経営権の問題であるとして団交を拒否したことが、職員の労働条件に直接関係する事項であり、団交の対象となるとされた例。
2801 団体運営に関する補助金支給
組合のレクリエーション・学習会・専門部会等に園施設を貸与することは、組合の自主性を損なうものとは認められず、かつ団結権を侵害するものとも認められないことから経費援助に当たらないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
本件申立時において勤務時間中の組合活動を認める労使慣行が成立していたとは認められず、本件において勤務時間中の組合のビラ配布・署名活動・リボン着用等を禁止する園の措置を一方的に不当とはいえないとされた例。
3020 組合活動への制約
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
園は、組合に職員控室等に組合文書を撤去するよう命じたが、組合の抗議によって、その後置くことを容認しているので、これを問題にする理由がないとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
人員削減について事前協議を行うことなく、組合員5名を一方的に配転したことが支配介入に当たるとされた例。
3020 組合活動への制約
組合の職場集会のための園施設利用を認めなかったことが支配介入ではないとされた例。
3020 組合活動への制約
組合のレクリエーション・学習会・専門部会等に園施設を貸与しなかったことが、施設管理権の範囲を超えた支配介入に当たるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
園が、就業規則を改定し、施設内の組合活動、掲示・放送・演説・印刷物の配布・貼付等の行為を制限する新設規定を設けたことが支配介入に当たるとされた例。
3106 その他の行為
組合員が、上部団体等が行う対大阪市交渉などに参加する場合、職務免除扱いにしなかったことをもって不当労働行為があったとはいえないとされた例。
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業種・規模 |
社会保険、社会福祉 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集88集278頁 |
評釈等情報 |
 
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