概要情報
事件名 |
日本抵抗器製作所 |
事件番号 |
富山地労委 昭和62年(不)第1号
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申立人 |
総評・全国金属労働組合富山地方本部日本抵抗器支部 |
申立人 |
総評・全国金属労働組合富山地方本部 |
被申立人 |
株式会社 日本抵抗器製作所 |
命令年月日 |
平成 1年 3月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)朝礼において管理職が組合を批判する等の発言をしたこと、(2)管理職が組合員と個別面談等を行い組合からの離反を強要したこと、(3)組合を誹謗中傷するビラの配布に会社上層部が関与したこと、(4)管理職が組合員宅を家庭訪問し、組合執行部を中傷したり、組合からの離反を強要したこと、(5)組合執行部を批判し会社の方針に協力的な組合内グループを支援したこと等が争われた事件で、(2)、(4)及び(5)の行為は支配介入に該ると判断し、利益誘導あるいは執行部批判グループの行動支援等による支配介入の禁止及び誓約文の手交を命じ、(1)、(3)及び陳謝文の掲示・新聞紙上への掲載については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、その管理職を通じて、申立人日本抵抗器支部の組合員に対し、申立人らの方 針に従っている場合の不利益や被申立人の方針に従った場合の優遇を示唆したり、申立人ら の方針に反対する日本抵抗器支部執行部批判グループの行動を支援したりするなどして、申 立人らの運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、本命令交付の日から1週間以内に、下記のとおり誓約文を申立人らに対して 手交しなければならない。 記 誓 約 文 当社が管理職を通じて、貴日本抵抗器支部組合員に対し、貴労働組合の方針に従っている 場合の不利益や当社の方針に従った場合の優遇を示唆したり、貴労働組合の方針に反対する 日本抵抗器支部執行部批判グループの行動を支援したことは、貴労働組合を嫌悪しその運営 に支配介入した労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると富山県地方労働委 員会において認定されました。 当社は、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 平成 年 月 日 総評・全国金属労働組合富山地方本部 執行委員長 X1 殿 総評・全国金属労働組合富山地方本部 日本抵抗器支部 執行委員長 X2 殿 株式会社日本抵抗器製作所 代表取締役 Y1 3 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社課長の朝礼における発言内容は、いずれも会社としての考え方を表明したにとどまるもので、支配介入にはあたらないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
課長ら管理職が部下と個別に面談した際の発言が、会社の考え方や使用者と労働組合との間の一般論を述べたにとどまり支配介入とはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社課長が支部組合員らに電話をした内容は、支部のスト権確立を阻止しようとするもので、支配介入にあたるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2700 威嚇・暴力行為
課長ら管理職による組合員に対する個別面談は、それ以前に行われていた面談と異なり組織的、かつ長時間に及び、その発言自体も不利益を示唆、かつ、利益誘導を図ったもので支配介入にあたるとされた例。
2620 反組合的言動
会社の配布した「日抵の声」は、その記載内容等から、会社と意を通じた者が作成配布したとの疑いがあるが、会社が関与したと認定できないとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
課長ら管理職は一般的に使用者の利益を代表する立場にあり、その言動は会社の意を体して行った支配介入にあたるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
労使関係が対立している時期に管理職が従業員宅を組織的に訪問していたことについて会社が容認していた以上、その結果については会社に帰責されるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
支部執行部の方針に反対するグループに助力する課長ら管理職の言動は、会社がこれらの行為を容認している以上、会社はこれらの行為について責任を負うとされた例。
4830 代表者
申立人支部の役員は任期が満了し、支部委員長はその地位を喪失しているが、現任地に支部を代表する者が存在しないこと、その他の事情等から支部委員長は代表する権限を有するものとされた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集85集882頁 |
評釈等情報 |
 
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