概要情報
事件名 |
北海道旅客鉄道・日本貨物鉄道(全動労不採用) |
事件番号 |
北海道地労委昭和62年(不)第28号
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申立人 |
全国鉄動力車労働組合 |
申立人 |
全国鉄動力車労働組合北海道地方本部 |
被申立人 |
日本貨物鉄道 株式会社 |
被申立人 |
北海道旅客鉄道 株式会社 |
命令年月日 |
平成 1年 3月20日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
国鉄の分割・民営化により発足した北海道旅客鉄道ら二社が、全動労所属組合員313名を採用しなかったことが争われた事件で、(1)北海道旅客鉄道に対して298名、日本貨物鉄道に対して15名を62年4月1日付で社員に採用したものとしての取扱い、(2)就労すべき職場等について組合と協議、(3)国鉄清算事業団から支払われた賃金額との差額の支払い、(4)陳謝文の手交及び掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人北海道旅客鉄道株式会社は、同社に採用を希望している別表第1記載の組合員 を、昭和62年 4月 1日をもって同社の社員に採用したものとして取り扱わなければならな い。 2 被申立人日本貨物鉄道株式会社は、同社に採用を希望している別表第2記載の組合員を、 昭和62年 4月 1日をもって同社の社員に採用したものとして取り扱わなければならない。 3 被申立人北海道旅客鉄道株式会社及び同日本貨物鉄道株式会社は、上記第1項及び第2項 を履行するに当たり、就労すべき職場・職種について、申立人らと協議しなければならな い。 4 被申立人北海道旅客鉄道株式会社及び同日本貨物鉄道株式会社は、別表第1及び第2記載 の組合員が就労するまでの間、同人らが昭和62年 4月 1日にそれぞれ上記被申立人らの社員 として採用されていたならば得たであろう賃金相当額と申立外日本国有鉄道清算事業団にお いて実際に支払われた賃金額との差額を、同人らに対し、支払わなければならない。 5 被申立人北海道旅客鉄道株式会社及び同日本貨物鉄道株式会社は、本命令受領後、速やか に申立人らに対して下記内容の陳謝文(ただし、陳謝文1は北海道旅客鉄道株式会社、陳謝 文2は日本貨物鉄道株式会社とする。)を手交するとともに、同陳謝文を縦1m×横1.5mの 白色木板に楷書で墨書し、上記被申立人らの各本社及び各支社(日本貨物鉄道株式会社にあ っては、北海道支社とする。)の玄関正面入口の見やすい場所に、10日間掲示しなければな らない。 記 陳 謝 文 1 昭和62年 4月 1日の採用及び同年 6月 1日の補充採用に際し、貴組合の組合員であること 及び貴組合の組合活動を理由に当社の社員として採用しなかった行為は、今般、北海道地方 労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると 認定されました。ここにその責任を認め、深く陳謝するとともに、今後このような行為を繰 り返さないことを誓約致します。 平成 年 月 日 全国鉄動力車労働組合 執行委員長 X1 様 全国鉄動力車労働組合北海道地方本部 執行委員長 X2 様 北海道旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 印 陳 謝 文 2 昭和62年 4月 1日の採用に際し、貴組合の組合員を貴組合の組合員であること及び貴組合 の組合活動を理由に当社の社員として採用しなかった行為は、今般、北海道地方労働委員会 において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されま した。 ここにその責任を認め、深く陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないこと を誓約致します。 平成 年 月 日 全国鉄動力車労働組合 執行委員長 X1 様 全国鉄動力車労働組合北海道地方本部 執行委員長 X2 様 日本貨物鉄道株式会社 代表取締役 Y2 印 6 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1500 不採用
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
被申立人両会社が62年4月1日で全労働組合員313名を社員として採用しなかったことが不当労働行為であるとされた例。
1500 不採用
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
被申立人北海道会社が62年6月1日付の補充採用において全動労組合員を社員として採用しなかったことが不当労働行為であるとされた例。
3900 「不利益の範囲」
本件不採用行為は、実質的には整理解雇的措置ということができ、不利益性は否定し難いとされた例。
4417 条件付命令・協議命令
本件不採用の救済として、就労すべき職場、職種の決定については、両会社の発足後の事情等を勘案して、労使間で協議するよう命じた例。
4405 バックペイから他収入控除
本件救済の対象者について、62年4月1日に採用されていたならば得ることのできた賃金相当額と清算事業団で受領した賃金額との差額の支払いを命じた例。
4911 解散事業における使用者
被申立人会社は、事業内容、資産、施設、役職員、労働条件の承継等からみて、国鉄と実質的同一性を有すると認められるから、国鉄が新会社のためになした本件選別行為につき、使用者としての責任は免れないとされた例。
5006 採用の請求
新会社の職員採用の過程において本件不当労働行為がなかったならば、全動労の組合員は両会社に採用され得るものであり、同人らの採用を命ずる救済は、必ずしも改革法に反するものではないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集85集597頁 |
評釈等情報 |
 
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