概要情報
事件名 |
明治屋(石川) |
事件番号 |
石川地労委 昭和61年(不)第2号
|
申立人 |
総評・全国一般全明治屋労働組合 |
申立人 |
総評・全国一般全明治屋労働組合金沢支部 |
被申立人 |
株式会社 明治屋 |
命令年月日 |
平成 1年 3月14日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、組合員に対して、(1)60・61年度昇給及び中元賞与、年末賞与の査定において不利益に取り扱ったこと、(2)61・62年の各3月の昇給・昇格において不利益に取り扱ったこと、(3)団体交渉へのテープレコーダー持ち込みを理由に団交を拒否したこと、(4)本社での団交のための旅行日について賃金カットしたこと、(5)証人として労委の審問に出席した日について賃金カットしたこと、(6)創業100周年記念永年勤続ヨーロッパ視察旅行に組合員X1を派遣しなかったことが争われた事件で、(1)昇給及び賞与の査定金額を遡及して是正し、賃金額の修正及びバック・ペイ、(2)組合員X2について62年3月1日に遡及し係長待遇1級職へ昇格させ、職務手当の支払い、(3)文書手交、(4)労委に対する履行結果の報告を命じ、(3)、(4)、(5)については棄却し、60年5月26日以前の昇格等については却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、下記のとおり、申立人らの組合に所属する組合員の昭和60年度及び61年度の 昇給の査定金額を遡及して是正し、この是正により変更を生じた組合員の賃金の額を修正す るとともに、既に支払った賃金との差額を同人らに対して速やかに支払わなければならな い。 (下記略) 2 被申立人は、下記のとおり、申立人らの組合に所属する組合員の昭和60年度及び61年度の 中元賞与と年末賞与の査定金額を是正し、是正した金額と既に支払った金額との差額を同人 らに対して速やかに支払わなければならない。 (下記略) 3 被申立人は、申立人らの組合に所属する組合員X2を、昭和62年 3月 1日に遡及して係長 待遇1級に昇格させ、これに伴う職務手当を同人に対して速やかに支払わなければならな い。 4 被申立人は、申立人2組合それぞれに対し、速やかに別掲の文書を交付しなければならな い。 5 被申立人は、前記1から4までの各項の履行結果を、当委員会に文書で速やかに報告しな ければならない。 6 申立人らの昭和60年 5月26日以前の昇格、昇給に係る申立ては、これを却下する。 7 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 別 掲 平成 年 月 日 総評・全国一般全明治屋労働組合 中央執行委員長 X8 殿 総評・全国一般全明治屋労働組合金沢支部 執行委員長 X5 殿 株式会社 明 治 屋 代表取締役 Y1 このたび、当社が行った下記の行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不 当労働行為であると、石川県地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為のないよう留意します。 記 1.昭和60年度及び61年度の昇給、賞与の査定において、貴組合員を不利益に取り扱ったこ と。 2.昭和61年及び62年の各3月の昇給、昇級において、貴組合員を不利益に取り扱ったこ と。 3.昭和61年春に実施した創業 100周年記念永年勤続者ヨーロッパ視察旅行に、貴組合員X 1を派遣しなかったこと。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
60年度及び61年度昇給及び賞与について組合の組合員を非組合員と比べ低査定したことが不当労働行為であるとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
団交出席のための旅行日の賃金をカットしたことが、当時の労使関係を考慮しても、不当労働行為にはあたらないとされた例。
1200 降格・不昇格
2901 組合無視
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員の61年及び62年の各3月の昇格、昇級を適正に行わなかったことが不当労働行為であるとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
審問に出席する証人に対して、従来から有給扱いとされていた証言に要した時間と出席に要する往復の交通時間以外の時間を無給扱いとして賃金カットしたことが不当労働行為ではないとされた例。
1200 降格・不昇格
組合員X2を61年3月に昇格させなかったことが、不利益取扱いとは認められないとされた例。
1601 福利厚生上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社創立100周年記念ヨーロッパ旅行に、組合の組合員を1名も選抜しなかったことが不当労働行為であるとされた例。
2213 交渉人数
2230 不穏当な態度
会社が、支部からのテープ持ち込み団交開催要求を大衆団交になることを理由に拒否したことが、不当労働行為であるとまではいえないとされた例。
4419 現存格差を一挙に是正した例
60年度及び61年度昇給及び賞与の査定差別の救済として、会社査定平均額への一律是正が相当であるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
組合員6名の昇格差別の救済については、別件で命じた是正、昇給に要する滞留年数等を勘案して、文書交付にとどめることが相当であるとされた例。
5008 その他
本件昇給及び賞与の査定を是正した結果、組合員の集団の各査定額が会社査定平均額を若干上回るが、従前もこのような事実があったことを考慮すると労委の不当労働行為是正の裁量権の範囲内にあるとされた例。
|
業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集85集494頁 |
評釈等情報 |
 
|