概要情報
事件名 |
奥多摩工業・瑞穂運輸 |
事件番号 |
東京地労委 昭和58年(不)第90号
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申立人 |
全日自労建設一般労働組合 |
被申立人 |
奥多摩工業 株式会社 |
被申立人 |
瑞穂運輸 株式会社 |
命令年月日 |
昭和63年 5月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社及び会社と運送業務等に関する委託契約を締結しているO工業(株)が、組合のダンプ運転手に対する配車及び運転単価に関する団交申入れに対し、組合員であるダンプ運転手との間に雇用関係がないこと等を理由に拒否したことが争われた事件で、会社に対し団交を拒否してはならない旨及び文書手交並びに命令の履行報告を命じ、O工業(株)に対する申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人瑞穂運輸株式会社は、申立人全日自労建設一般労働組合から、奥多摩工業青梅採掘場における、同組合所属のダンプ運転手に対する配車および運賃単価に関する事項について団体交渉の申し入れがなされた場合は、これを拒否してはならない。 2 被申立人瑞穂運輸株式会社は、本命令書受領の日から一週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。 記 年 月 日 全日自労建設一般労働組合 中央執行委員長 X1 殿 瑞穂運輸株式会社 代表取締役 Y1 当社が昭和58年7月以降、貴組合から申し入れのあった団体交渉について、貴組合所属の組合員であるダンプ運転手との間に雇用関係がないとか貴組合の申し入れた事項が団体交渉事項ではないとして、これを拒否したことは不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。) 3 被申立人瑞穂運輸株式会社は、前各項を履行した時はすみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 4 被申立人奥多摩工業株式会社に対する申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2130 雇用主でないことを理由
本件採掘場における運送業務に係わっている下請運送業者は単なる運賃支払い窓口とはいえず、ダンプ運転手との関係において法7条2号にいう使用者に当たるとされた例。
2130 雇用主でないことを理由
砕石の運搬を行っているM運輸はダンプ運転手との間に直接の契約関係はないが、その労働条件に対し実質的かつ具体的な支配力を有しているから、法7条2号にいう使用者に当たるとされた例。
2130 雇用主でないことを理由
砕石等を製造しているO工場は、砕石を運搬するM運輸の運送業務に従事するダンプ運転手の労務内容に関与してるとも認められないこと等から、ダンプ運転手との関係で法7条2号にいう使用者には当たらないとされた例。
2130 雇用主でないことを理由
M運輸が同社の運送業務に従事するダンプ運転手の加入している申立人組合の申し入れた団交を、雇用関係にないことを理由に拒否したことが不当労働行為とされた例。
2130 雇用主でないことを理由
O工業はダンプ運転手との関係で法7条2号にいう使用者に該当しないので、申立人組合との団交を拒否しても不当労働行為とはいえないとされた例。
2304 経営事項
積載量問題、配車差別、出稼ダンプ問題等は、M運輸がO工業から具体的に委任されている運送業務に係わる事項であり、団交事項たりうるとされた例。
4810 労組法7条2号(個人申立)の場合
本件ダンプ運転手は法3条にいう労働者に当たるとされた例。
4505 その他
団交拒否の救済として、M運輸に対し、ダンプ運転手に対する配車及び運賃単価に関する事項に係る団交申入れを拒否してはならないと命じた例。
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業種・規模 |
非金属鉱業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集83集407頁 |
評釈等情報 |
 
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