概要情報
事件名 |
笠戸船渠 |
事件番号 |
山口地労委 昭和61年(不)第3号
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申立人 |
全日本造船機械労働組合笠戸船渠分会 |
被申立人 |
笠戸船渠 株式会社 |
命令年月日 |
昭和63年 3月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)就業規則の改訂を組合が認めないことを理由に組合員の残業を拒否したこと、(2)改訂就業規則の承認を確認するための文書を配布し、葉書を郵送したことが争われた事件で、(1)時間外勤務差別の禁止、(2)時間外勤務をさせるまでの期間の賃金相当額の支払い、(3)確認書配布による支配介入の禁止、(4)上記(2)の履行報告を命じ、謝罪文の手交、掲示及び掲載は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人所属の組合員に対して、その組合員であることを理由として、時間外勤務及び休日勤務について、申立外笠戸船渠労働組合所属の組合員との間に差別してはならない。 2 被申立人は、昭和61年1月9日以降、被申立人が従前どおり申立人所属の組合員を時間外勤務及び休日勤務させるに至るまでの期間、時間外勤務及び休日勤務が可能であった申立人所属の組合員に対して給与支払期毎に、申立人所属の組合員がそれぞれ所属する班(班のない職場においては係)の他の従業員の平均時間外勤務時間及び平均休日勤務時間をもって、改訂就業規則を基礎として算出した賃金相当額に各給与支払日から支払済みに至るまで年5分相当額を加算した金員を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人の了解を得ることなく申立人所属の組合員に対して改訂就業規則を承認して就労しているか否かの確認を求める文書を配布するなどして、申立人の組合運営に介入してはならない。 4 被申立人は、上記第2項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 5 申立人のその余の救済申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
3500 処分の時期
会社が分会員のみに残業させなかったことは、分会が就業規則の改訂に反対してストを行うなど労使関係が緊張していた時期からみて不当労働行為とされた例。
2240 説明・説得の程度
会社は、合理化提案以来の交渉において、可能な限り分会との交渉に応じ、説明、回答をしているので不当労働行為とはいえないとされた例。
2620 反組合的言動
会社が就業規則改訂を承認する確認書を配布し、葉書を郵送した行為は、個々の分会員に対して改訂就業規則を認めることを強要した支配介入とされた例。
4407 バックペイの支払い方法
残業差別の救済として、会社が従前どおり分会員に残業をさせるに至るまでの期間、分会員が所属するそれぞれの班の従業員が行った平均残業時間をもって算出した賃金相当額の支払いを命じた例。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集83集280頁 |
評釈等情報 |
 
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