労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本パルプ 
事件番号  鳥取地労委 昭和53年(不)第3号 
申立人  X3 承継人目録記載のとおり 
申立人  X1 外14名 
被申立人  日本パルプ工業 株式会社 
被申立人  王子製紙 株式会社 
命令年月日  昭和63年 2月15日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  「紙パ労連派」である申立人X2ら15名に対し、昭和41年以降昇給及び昇給差別が行われているとして争われた事件で、(1)本給昇給決定時における申立人らの成績率を再査定し基本給を是正すること、(2)資格及び職能資格級の是正、(3)資金体系移行時における各人の成績序列を是正し、この結果を基にその後の職階級を是正すること、(4)賞与の是正、(5)是正措置による差額の支給を命じ、昭和51年11月20日以前の昇給、昇格に関する申立ては却下した。 
命令主文  1 被申立人王子製紙株式会社は、別紙1申立人目録記載の申立人15名に対し、それぞれ次の措置を講じたものとして取り扱わなければならない。
(1) 昭和51年11月から昭和53年11月までの各基本給決定時における申立人それぞれの成績率を、最高 115パーセントから最低70パーセントの範囲で、15名の平均が 100パーセントを下回ることのないよう再査定し、これに各人の現実の出勤率を乗じて得た額をそれぞれの基本給とすること。
 なお、この再査定に当たっては、申立人各人の既定の成績率を下回ってはならない。
(2) 申立人それぞれの資格及び職能資格級を、別表の是正すべき時期欄記載の日付で、同表の是正すべき資格欄及び是正すべき職能資格級欄記載のとおり是正すること。
(3) X3を除く申立人14名に対し、上記(1)及び(2)の措置により是正された基本賃金を基礎として、昭和54年11月21日付けの賃金体系移行時における各人の成績序列を是正し、この結果を基にその後の職階級を是正すること。
(4) 申立人X3に対し、同人が解雇となった昭和61年2月10日までの間について、上記(3)と同様の是正措置を講じたものとして取り扱うこと。
2 被申立人王子製紙株式会社は、前項に命じる是正により算定される基本賃金の金額と申立人各人に既に支払われた基本賃金との差額を算定するとともに、前項の是正によって算定の基礎に変更を生じた諸手当の金額と申立人各人に既に支払われた諸手当の金額との差額を算定しなければならない。
3 被申立人王子製紙株式会社は、昭和51年12月から昭和53年12月までの間の夏季及び年末賞与の各決定時における申立人それぞれの成績率を、最高 115パーセントから最低70パーセントの範囲で15名の平均が 100パーセントを下回ることのないよう再査定し、これにより得られた成績率、第1項に命じる是正により算定される各賞与の基礎となるべき基本賃金及び各人の現実の出勤率を基礎として各賞与の金額を積算し、申立人各人に既に支払われた賞与の金額との差額を算定しなければならない。
 なお、この再査定に当たっては、申立人各人の既定の成績率を下回ってはならない。
4 被申立人王子製紙株式会社は、X3を除く申立人14名各人に対し、前二項により算定される差額にそれぞれ年率5分相当額を加算した金員を支払わなければならない。
5 被申立人王子製紙株式会社は、X3の業務外傷病手当及び退職手当について、第1項の(4)の是正により算定の基礎に変更を生じた両手当の金額と既に支払われた両手当の金額との差額を算定するとともに、この差額と第2項及び第3項により算定されるX3分の差額にそれぞれ年率5分相当額を加算した金員を別紙2承継人目録記載の承継人らに支払わなければならない。
6 申立人らの昭和51年11月20日以前の昇給、昇格に関する申立ては、いずれもこれを却下する。
7 申立人らのその余の申立てについては、これを棄却する。 
判定の要旨  0120 政治(党)活動
申立人らによる組合執行部の路線批判、会社の合理化施策、労務対策批判等の活動に特定政党の活動と見られ得る側面があるとしても、労組法上の保護がおよぶ範囲であるとされた例。

1202 考課査定による差別
会社が、申立人らの昇給、昇格に当たっての人事考課を低位に評価したことが不当労働行為とされた例。

4415 賃金是正を命じた例
旧N工業の賃金制度下において被申立人の不当労働行為により生じた昇給、昇格上の格差は是正されることなく、O製紙の賃金制度に移行し、これを前提に以後の昇給、昇格がなされているので、O製紙にその是正を命じるのが適当とされた例。

5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
N工業はO製紙と企業合併し、解散により消滅したためO製紙が本件被申立人の地位を承継したとされた例。

5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
本件結審後、死亡した申立人X3が在職中に受けた差別を是正することによって生じる経済的利益は、所定の期間内に承継を申し出た同人の妻子らに帰属させることが適当とされた例。

5201 継続する行為
昇給、昇格決定行為は、当該年度の最終の賃金支払行為の終了をもって、その目的を完全に達成し得るものであるから、決定行為が不当労働行為に該当するときは以後の各賃金支払行為も不当労働行為を構成するとされた例。

5201 継続する行為
一時金の算定基礎となる基本賃金の決定が不当労働行為に該当する限り、一時金決定行為も昇給、昇格決定行為と同様に解すことが相当とされた例。

業種・規模  パルプ・紙・紙加工品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集83集134頁 
評釈等情報   

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