労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  郡山交通 
事件番号  奈良地労委 昭和62年(不)第5号 
申立人  奈良県自動車交通労働組合郡山交通分会 
被申立人  郡山交通 株式会社 
命令年月日  昭和63年 1月26日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)分会員に対してのみクーラー設備のない営業車への乗車命令を発したこと、(2)分会員の傷病手当金に必要な事業主証明を拒否したこと、(3)年末一時金に関する団交を拒否し、分会員には支給しなかったこと等が争われた事件で、営業車の差別乗務の禁止、休業証明拒否等による不利益取扱いの禁止、年末一時金の支給、団交の実施及びポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人の組合員に対して、夏期にクーラー未装着の営業車に乗務させ、他の従業員と差別してはならない。
2 被申立人は、申立人の組合員が療養のため休業し、健康保険の傷病手当金の請求手続きに必要な事業主の休業証明を求めた場合、証明を拒否するなどして、当該組合員に対し、不利益に取扱ってはならない。
3 被申立人は、申立人の組合員に対し、非組合員に支給した昭和61年年末一時金を非組合員と同様に扱い、支払わなければならない。
4 被申立人は、昭和62年夏期一時金及び昭和61年年末調整金の還付要求について、申立人と速やかに誠実な団体交渉を行わなければならない。
5 被申立人は、申立人に対して、本命令書受領の日から1週間以内に、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人の事務所内の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
              記
                昭和  年  月  日
  奈良県自動車交通労働組合郡山交通分会
   分会長 X1 殿
              郡山交通株式会社
              代表取締役 Y1
 当社が貴分会に対し、下記の不当労働行為を行った旨奈良県地方労働委員会により認定されました。よって、当社はこのことを反省し、今後、このような行為を繰り返さないことを誓います。
              記
一、貴分会の組合員に対し、夏期にクーラー未装着の営業車に乗務させて他の従業員と差別したこと。
二、貴分会の組合員から、健康保険の傷病手当金の請求手続きに必要な事業主の休業証明の要求があった場合、当該要求を拒否するなどして不利益に取扱ったこと。
三、貴分会の組合員に対してのみ、昭和61年年末一時金を支給しなかったこと。
四、貴分会からの団体交渉の申入れに対し、団体交渉を拒否したこと。
6 申立人のその余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
申立人組合の組合員に対してのみ、年末一時金を支給しなかったことが不利益取扱いとされた例。

1302 就業上の差別
申立人組合の組合員に対し、クーラー未装着の営業車に乗務させて他の従業員と差別したことが不利益取扱いとされた例。

1601 福利厚生上の差別
健康保健の傷病手当金の請求手続に必要な事業主の休業証明の発行を拒否したことが不利益取扱いとされた例。

2300 賃金・労働時間
申立人組合からの夏期一時金及び年末調整金の還付要求についての団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、本件申立て後盛夏をすぎてクーラー未装着車にクーラーを装着したが、今後も会社が組合員に同様の不利益取扱いをするおそれがないとはいえず、申立人は被救済利益を有するとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、本件申立て後事業主証明に応じたが、それらの証明は社会保険事務所の勧告に従ってなされたものであるから、会社の組合に対する従前からの対応に鑑みると、申立人は被救済利益を有するとされた例。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
本命令において、申立人組合の組合員に対し、年末一時金の支払いを命じた以上、これに関する団交を命ずる必要はないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集83集122頁 
評釈等情報   

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