労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日産自動車 
事件番号  東京地労委 昭和61年(不)第9号 
東京地労委 昭和61年(不)第16号 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部日産自動車支部 
申立人  X1 
被申立人  日産自動車 株式会社 
命令年月日  昭和63年 1月12日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、支部組合員X1の住宅資金社内貸付申込みに対し、同人の宣伝活動により会社の名誉と信用を傷つけられたこと等を理由に、不承認の決定をしたことが争われた事件で、住宅貸付け不承認の決定を撤回し、貸付けの決定がなされたと同様の取扱いをすること及び文書交付を命じた。 
命令主文  1 被申立人日産自動車株式会社は、申立人X1が行ったニッサンマイホーム制度にもとづく住宅資金の社内貸付申込みに対し、昭和61年1月22日になした不承認の決定を速やかに撤回して、同日付けで貸付の決定がなされたと同様の取扱いをしなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の文書を申立人組合に交付しなければならない。
                記
                昭和  年  月  日
  日本労働組合総評議会全国金属労働組合
  中央執行委員長 X2 殿
  日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部
  執行委員長   X3 殿
  日本労働組合総評議会全国金属労働組合
  東京地方本部日産自動車支部
  執行委員長   X4 殿
              日産自動車株式会社
              代表取締役 Y1
 当社が貴組合所属の組合員X1氏に対し、住宅資金の貸付を拒否したことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。
 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。
   (注、年月日は、交付した日を記載すること。) 
判定の要旨  0200 宣伝活動
申立人X1が行った一連の宣伝活動は、いずれも支部の組合活動とされた例。

0200 宣伝活動
申立人X1らが配布した組合機関紙の内容は、対立抗争当事者の攻防における表現としては、特に過激であるともみえず、正当な組合活動の域を逸脱しているとはいえないとされた例。

1601 福利厚生上の差別
申立人X1に対する住宅資金貸付拒否は、同人の宣伝活動に対する報復措置として行った不当労働行為とされた例。

3200 不当労働行為とされた例
申立人X1に対する住宅資金貸付拒否について、会社は労委に係争中であることをも挙げているが、労組法7条4号には該当しないとされた例。

4413 給与上の不利益の場合
住宅資金貸付拒否の救済として、申立人X1が行った住宅資金の社内貸付申込みに対してなした不承認の決定を撤回し、貸付決定がなされたと同様の取扱いをするよう命じた例。

5008 その他
労委が、消費貸借契約の締結を、命令をもって強制することは、契約の自由の原則、行政処分に係る法律上の留保の原則に反し許されないとの主張を斥けた例。

5008 その他
本件貸付けは、組合員に対する金銭の援助にほかならず、不当労働行為の枠外のことであるとの主張を斥けた例。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集83集70頁 
評釈等情報  労働判例 1988年6月1日  515号 80頁 

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