概要情報
事件名 |
粟村製作所 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和60年(不)第70号
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申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 粟村製作所 |
命令年月日 |
昭和62年 5月15日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、申立人組合員に対し、残業拒否闘争を行ったことを理由に営業手当をカットしたこと、同闘争を口実に、組合に対して掲示板の設置問題について誠意ある対応をしなかったこと、組合員に対し、組合脱退工作を行ったり、組合を「ガンだ」と発言するなど、中傷誹謗したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、カットされた営業手当相当額の支払い(年5分加算)、上記各行為についての文書手交を命じ、残業就労拒否の禁止の申立てについては、会社がすでに残業就労禁止通知を撤回していることから、棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員(別記)に対し、昭和60年10月9日から同61年4月2日までの間、同人らが受けるはずであった営業手当相当額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 全大阪金属産業労働組合 執行委員長 X1 殿 株式会社粟村製作所 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1) 貴組合員が、昭和60年10月9日から残業拒否闘争を行ったことを理由に、同人らの同年10月分の営業手当を一部カットしたこと (2) 昭和60年10月25日、貴組合から残業拒否闘争を中止する旨申入れがあったにもかかわらず、貴組合員には同年10年25日以降、同61年4月2日まで残業をさせず、その間の営業手当も支給しなかったこと (3) 貴組合の残業拒否闘争を口実に、貴組合に対して、組合掲示板の設置問題について誠意ある対応をしなかったこと (4) 貴組合員に対し、組合脱退工作を行ったり、貴組合を「ガンだ」と発言するなど、中傷誹謗したこと 3 申立人のその他の申立ては棄却する。 〔別 記〕 ・X2 ・X3 ・X4 ・X5 ・X6 |
判定の要旨 |
1204 スト・カット
2901 組合無視
分会員の残業拒否闘争に藉口して、闘争期間中の営業手当を一部カットしたことが不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
2901 組合無視
組合の残業拒否闘争中止通知にもかかわらず、会社は、それ以後の分会員の残業就労を禁止し、当該期間中の営業手当をカットしたことが不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長らが組合を中傷・誹謗する発言を行ったり、組合脱退工作を行ったことが、残業拒否闘争を実施した組合を嫌悪し、組合の壊滅を企図した支配介入とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が、組合からの掲示板設置問題に関する申入れに対し、残業拒否闘争に藉口して誠意ある対応をしないことが支配介入とされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
救済を求めている残業拒否の禁止は、会社の残業拒否就労禁止通知を撤回し、以後、就労可能な状況にあることから、救済利益は消滅したとして斥けられた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
分会員X7は審理途上に会社を退職しているが、同人は、退職後も組合員であるから、被救済利益はあると命じた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集81集409頁 |
評釈等情報 |
 
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