概要情報
事件名 |
有田交通 |
事件番号 |
和歌山地労委 昭和60年(不)第1号
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申立人 |
X1 |
申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会和歌山地方連合会和歌山自動車交通労働組合 |
申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会和歌山地方連合会和歌山自動車交通労働組合中紀分会 |
被申立人 |
有田交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和62年 5月 6日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、分会員らに対して、他営業所への転勤を示唆したり金銭を提供することによって、脱退、退職を勧奨したこと、分会員X1に古い年式の営業車を割り当てたり、無線を設置しないなどの差別をしたことが不労労働行為であるとして争われた事件で、上記行為による支配介入の禁止、X1に対する他乗務員使用のものと同等の営業車への乗務、無線の設置及びこれらに関する文書手交を命じ、支配介入に関する申立てのうち1年9ヵ月以前の行為については却下し、分会員X3、X10については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員に対して、和歌山営業所への転勤を示唆したり金銭で誘惑することによって、脱退、退職を勧めたり、また、組合員であることを理由に古い年式の営業車を割り当てたり無線を設置しないなどの差別をして、組合の運営を支配し、又はこれに介入してはならない。 2 被申立人は、申立人X1を、現在湯浅営業所の他の乗務員が使用しているのと同等の営業車に乗務させ、かつ、その営業車に無線を設置しなければならない。 3 被申立人は、申立人に対し、この命令書到達の日から7日以内に下記の文書を手交しなければならない。 記 昭和 年 月 日 (手交の年月日を記載すること。) 全国自動車交通労働組合総連合会和歌山地方連合会 和歌山自動車交通労働組合 執行委員長 X9 殿 全国自動車交通労働組合総連合会和歌山地方連合会 和歌山自動車交通労働組合中紀分会 分 会 長 X1 殿 X1 殿 有田交通株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、和歌山県地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。よって、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1) 当社が、貴組合員に対して、転勤を示唆したり金銭の提供を示したりして、脱退、退職を勧めたこと。 (2) 当社が、X1氏の乗務する営業車について、組合員であることを理由に、他の乗務員と比べて古い年式の営業車を割り当てたり無線を設置しなかったこと。 4 X2に係る昭和58年8月の支配介入に関する申立ては、これを却下する。 5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
2901 組合無視
X1に対する無線不設置、営業車差別は、同人が分会員であるがための不当労働行為とされた例。
2613 使用者と取引関係者の言動
社長が第三者を介してX10及びその妻に対し、分会を脱退すれば新しい車に乗せるとの利益を示して同人を脱退させたとの組合主張が斥けられた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
健康を害していたX3の組合脱退、退職が会社の同人の社会保険制度の無知につけ込んだとの組合主張が認められないとされた。
2625 非組合員化の言動
X4及びX5の退職は、会社が通勤上不便な営業所への転勤を持ちかけ、困惑した両名の立場を利用して再雇用、昇給、一時金の約束のもとに退職させ、分会を脱退させたものと推認され支配介入とされた例。
2625 非組合員化の言動
X6及びX7が会社から金員を受領し、賃金請求差額訴訟を取下げ、会社を退職し、組合を脱退したことは会社の働きかけによるものと推認され支配介入とされた。
2611 その他の従業員の言動
X1からの退職の働きかけは、X8が会社側の立場としての行為であると推認され支配介入とされた例。
5201 継続する行為
申立て1年以上前のX3ら3名については、行為と行為の間隔が比較的接近していることから、継続する一連の行為とみることができるとされた例。
5200 除斥期間
金銭的利益等を付与することによってX2を分会から脱退させたとの組合主張は、既に本問題の救済申立ては1年9ヵ月以前の事実であり、また、他の行為とも期間が離れ過ぎているとして斥けた。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集81集380頁 |
評釈等情報 |
 
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