概要情報
事件名 |
ニプロ医工 |
事件番号 |
群馬地労委 昭和59年(不)第4号
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申立人 |
合化労連化学一般関東地方本部 |
申立人 |
合化労連化学一般関東地方本部ニッショー・ニプロ支部 |
被申立人 |
ニプロ医工 株式会社 |
命令年月日 |
昭和62年 3月 2日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)会社社長が年頭挨拶において、従業員に対し、組合脱退を勧奨する趣旨の話をしたこと、それ以降管理職らが同様の脱退勧奨をしたこと、(2)会社が、執行委員X1の解雇問題についての団交申入れを、同問題は個人的問題であって、団交事項ではないとして拒否したこと等が不当労働行為であるとして争われた事件で、脱退慫慂等による支配介入の禁止、X1の解雇問題に関する団交応諾、これらに関するポスト・ノーティス、命令履行についての労委に対する文書報告を命じ、仕事上の差別取扱い等の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人ら組合員に対して、申立人ら組合からの脱退を慫慂したり、申立人ら組合を一方的に批判するなどして、申立人ら組合の組織運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、申立人ら組合から申し入れのあった、X1の解雇問題に関する団体交渉に、速やかに応じなければならない。 3 被申立人は、命令書交付の日から7日以内に、縦1メートル、横 1.5メートルの白色木板に下記のとおり楷書で墨書し、被申立人館林工場の食堂内の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 会社が、貴組合及び貴組合員に対して行った次の行為は、不当労働行為であると群馬県地方労働委員会により認定されました。今後かかる行為は一切行わないよう十分留意いたします。 1 工場長や課長らをして、貴組合員に対して、貴組合からの脱退を慫慂したこと。 2 社長の年頭あいさつにおいて、貴組合を一方的に批判するなどして、貴組合員に対して、貴組合からの脱退を慫慂したこと。 3 昭和59年年末一時金交渉において、誠意ある団体交渉を行わなかったこと。 昭和 年 月 日 合化労連化学一般関東地方本部 執行委員長 X2 殿 合化労連化学一般関東地方本部ニッショー・ニプロ支部 執行委員長 X3 殿 ニプロ医工株式会社 代表取締役 Y1 (注:年月日は文書掲示の初日とする。) 4 被申立人は、第2項及び第3項に命ずるところを履行したときは、その都度遅滞なく当委員会に文書で報告しなければならない。 5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
組合が、残業等仕事上の差別取扱いなるものを取りあげて不当労働行為と主張するが、それらについては十分な疎明がないとして斥けられた。
2212 交渉の場所・時間
2240 説明・説得の程度
組合からの再三の団交申入れに対し、ようやく応じた団交においても、団交時間を30分に限定し、一方的に会社回答の妥結を迫った会社の態度は、不誠実団交とされた。
2301 人事事項
執行委員X1の解雇処分問題は、個人的問題であるとして団交申入れに応じない会社の態度が団交拒否とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長の年頭挨拶で、申立人組合を一方的に批判するなどして申立所属組合員に対して組合からの脱退を慫慂したことが支配介入とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
課長等の言動が、その内容、方法から、いずれも職制上の地位を利用して部下である組合員に対し、組合からの脱退を慫慂したことが支配介入とされた。
3410 職制上の地位にある者の言動
課長等の言動は、社長の年頭挨拶後に集中していることから、これを契機として、会社の意を受けた行為であると推認され支配介入とされた。
4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
社長の年頭挨拶、課長等の脱退慫慂発言に関しての救済については、団交を命ずるまでの必要性はなく、支配介入の禁止及び文書掲示で足りるとされた。
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業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集81集273頁 |
評釈等情報 |
 
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