概要情報
事件名 |
諫早電子工業 |
事件番号 |
長崎地労委 昭和60年(不)第3号
長崎地労委 昭和60年(不)第5号
長崎地労委 昭和60年(不)第8号
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申立人 |
諫早地区中小企業労働組合 |
被申立人 |
諫早電子工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年11月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)書記長に就任したX1の主任職を解任したこと、(2)同人に他工場への配転を内示したこと、(3)同人に残業させなかったこと、(4)支部長X2を交代制勤務から完全日勤勤務へ配転したこと、(5)労働条件の事前協議制を無視し、さらに破棄通告した(6)企業内最低賃金を守らないこと、(7)組合脱退勧奨等が争われた事件で、(1)X1を組合と協議の上、主任職解任発令直前の職に相当する職に復帰させること、(2)X1に対し、時間外勤務を命ずるにあたって、組合役員を理由とした不利益取扱いの禁止、(3)X2に対する配転命令の撤回、同人を交代制勤務に復帰させ、復帰までの間の賃金相当額と既支払額との差額の支払い(年5分加算)を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合の組合員X1を、申立人組合と協議のうえ、昭和60年3月1日付 人事異動発令の直前の同人の職に相当する職に速やかに復帰させなければならない。 2 被申立人は、申立人組合の組合員X1に対し、時間外勤務を命ずるにあたって、申立人組 合の役員であることを理由に、不利益な取扱いをしてはならない。 3 被申立人は、申立人組合の組合員X2に対する昭和60年6月21日の配転命令を撤回し、同 人を交替制勤務に復帰させるとともに、昭和60年6月22日から復帰までの間に同人が受ける はずであった賃金に相当する額と既に支給された賃金との差額及びこれに対する各支給日か ら支払済まで年5分の割合による金額を支払わなければならない。 4 被申立人は、申立人に対して、次のような文書を速やかに交付しなければならない。 昭和 年 月 日 諫早地区中小企業労働組合 執行委員長 X3 殿 諫早電子工業株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合諫早電子工業支部書記長X1に対し、昭和60年3月1日付でHIC製造課 主任を解任したこと及び同年6月21日以降残業させない措置をとったこと並びに支部長X2 を同月22日に交替制勤務から完全日勤制勤務へ配転したことは、長崎県地方労働委員会によ って、いずれも労働組合法第7条に該当する不当労働行為と認定されました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 5 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部長書記長に対する主任職の解任は、社長以下職制らが書記長と主任の二者択一を迫っていたこと等からみて、不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部長X2を交替制勤務から完全日勤制勤務に配転し、かつ、残業をもさせないことが不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部書記長X1に対する配転内示については、組合の抗議により、保留となり、その後新たな辞令に同人が従っているところから、同配転内示は、撤回されたものと解されるとして、組合主張を斥けた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部書記長X1に対し、残業できない措置をとったことが、X1の審問における証言を奇貨としてなした不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長が、事前協議なしの配転について抗議を行っている組合員に対し、「そう堅苦しいこといわなくてもいいんじゃないの・・・」などと立話をしたことが支配介入とまでいえないとされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
労使間で合意した昭和59年度の企業内最低賃金を履行しないのは不当労働行為であるとの主張が、同企業内最低賃金についての労働協約は成立していないことか斥けられた例。
3106 その他の行為
支部書記長X1に対する主任職の解任及び高来工場への配転内示は、昭和58年以降の組合との対応からみて、事前協議条項を無視したものといえず、支配介入とはいえないとされた例。
3102 争議対抗手段
本件事前協議制の一方的破棄通告が支配介入とはいえないとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
支部書記長X1に対し、残業させなかったことに対する救済として、その措置がなければ受けるはずであった賃金相当額の支払いを命じ、残業手当の格差の支払いは命じなかった例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集498頁 |
評釈等情報 |
 
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