概要情報
事件名 |
松本製作所 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和59年(不)第83号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪地方本部松本製作所支部 |
被申立人 |
株式会社 松本製作所 |
命令年月日 |
昭和61年10月16日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)昭和58年及び59年夏季、年末の各一時金について、組合の別組合等との格差是正要求を無視し、従前どおりの算式により支給したこと、(2)退職した組合員X1に対し、退職金以外に、100万円を支給したこと、(3)退職金支給規程の改定及びX1の退職問題についての団交に誠実に対応しなかったことが争われた事件で、59年年末一時金の是正、誠意ある団交の実施、上記(2)の事項も含む文書の手交を命じ、59年夏季以前の各一時金及び団交に社長の出席を求める申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員に対し昭和59年年末一時金のうち給与比例部分について、次の 算式において得られる額を支給することとし、既払分との差額及びこれに年率5分を乗じた 金額を速やかに支払わなければならない。 (算式) 組合員の基準内賃金金額×(310,000円×0.7÷全従業員(管理職を除く)平均基準内賃金 額) 2 被申立人は、退職金支給規程の改定及びX1の退職問題について、申立人と誠意をもって 団体交渉を行わなければならない。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文章を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 日本労働組合総評議会全国 金属労働組合大阪地方本部 松本製作所支部 執行委員長 X2 殿 株式会社 松本製作所 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、 第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後、このような 行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)昭和59年年末一時金のうち、貴組合員に対する給与比例部分の支給について、貴組合平 均基準内賃金と全従業員(管理職を除く)平均基準内賃金間の格差を考慮せずに行い、 もって、貴組合員を不利益に取り扱ったこと (2)貴組合員であったX1氏に対し、100万円という前例のない金員を支払うことによって 同人を退職させ、もって貴組合の弱体化を図ったこと (3)貴組合との間で行った退職金支給規程の改定及びX1氏の退職問題を議題とする団体交 渉において、誠実に対応しなかったこと。 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合が一時金の70%均等支給額方式は組合員に不利益になっているとして改めるよう求めたのに対し、会社はこれを改めないことが不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
退職金支給規程の改定および組合員X1の退職問題を議題とする団交において、十分な説明を行わず、事実を伝えなかったことが不当労働行為であるとされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
従前の団交において、会社は部長3名に交渉権限者を与えて出席させてきたこと、本件団交に社長が出席しなければならない特段の事情も認められないこと等からみて、不当労働行為とはいえないとされた例。
2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
従業員を殴打し事情聴取を行っていた組合員X1に対し、100万円という前例のない金員を支払うことによって同人を退職させたことが、殴打事件を奇貨としてなした不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集410頁 |
評釈等情報 |
 
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