概要情報
事件名 |
銭高組 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和57年(不)第50号
大阪地労委 昭和59年(不)第34号
|
申立人 |
全日自労建設一般労働組合 |
被申立人 |
株式会社 銭高組 |
命令年月日 |
昭和61年10月16日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が申立組合の組合員に対し、昭和50年度以降の各年度における賃金・賞与の査定、上位資格への格付け及び課長補佐・副課長への昇進等について、他の従業員と差別したことが争われた事件で、(1)組合員18名に対する56年度下半期ないし58年度下半期(57年度下半期は除くの各賞与)及び57年度賃金の是正(年5分加算)、(2)組合員10名に対する57年2月21日付、同1名に対する59年2月21日付昇格・昇給(年5分加算)、(3)組合員2名に対する57年2月21日付で副課長に昇進したものとしての取扱い、(4)文書手交を命じ、(5)50年度から56年度まで及び58年度の賃金・昇格・昇進並びに50年度上半期から56年度上半期まで及び57年度下半期賞与にかかる申立ては却下し、(6)組合員X1の昇格及び同X2らの一部組合員の賃金、賞与にかかる申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、次表記載の申立人組合員X3ら18名に対して、各人につき次表(略)で示す賃金 及び賞与について、同人と標準年齢を同じくする定期入社標準者で査定において標準とされ た者と同額となるよう是正し、当該措置により生ずる差額相当額及びこれに年率5分を乗じ た額を支払わなければならない。 2 被申立人は、次表(略)記載の申立人組合員X3ら11名に対し、次表記載の日付をもって次表 記載の資格及び資格給号俸に昇格・昇給していたものとして取り扱い、それによって生じた 差額相当額(ただし前記1の措置によって是正した分は除く)及びこれに年率5分を乗じた 額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人組合員X3、同X4に対して、昭和57年2月21日付で副課長に昇進して いたものとして取り扱い、当該措置によって生ずる役付手当相当額等及びこれに年率5分を 乗じた額を支払わなければならない。 4 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全日自労建設一般労働組合 中央執行委員長 X20 殿 株式会社銭高組 代表取締役 Y1 当社が、貴組合X3氏ら18名に対して、昭和56年度下半期賞与、57年度賃金、同年度上半期 賞与、58年度上半期賞与及び同年度下半期賞与における支給、57年度及び59年度における昇 格及び57年度における昇進について差別を行ったことは、大阪府地方労働委員会において労 働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今 後このような行為を繰り返さないようにいたします。 5 申立人の昭和50年度から56年度まで及び58年度の賃金・昇格・昇進並びに50年度上半期か ら56年度上半期まで及び57年度下半期賞与にかかる申立ては却下する。 6 申立人その他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
56年下半期賞与、57年賃金・上半期賞与、58年賞与の支給額について、組合員のほとんどが会社の示した標準額を下回ったことが不当労働行為であるとされた例。
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
上位職級への昇格及び課長補佐・副課長への昇進について差別したことが、合理的な理由なく組合員であるが故の不当労働行為であるとされた例。
4415 賃金是正を命じた例
資格昇格差別の救済として標準的昇格年令はないが、実態からみて、7級在級6年、標準年令37才、30才で6級、7年経過標準年令37才で5級への昇格を命じた例。
5200 除斥期間
組合は資格給・賞与の支給額並びに昇格について組合員と従業員間の格差について知った日から申立てまでの間に1年以上経過しているとして申立てを却下した例。
5200 除斥期間
賃金・賞与の査定措置等についての救済申立ては、格差の存在を知った日若しくは知り得たと客観的に認められる日から1年以内と解するのが相当であるとされた例。
5201 継続する行為
救済がなされるべき時点において不利益取扱いの事実が認められ、かつそれが会社によってそれ以前になされた不当労働行為に帰因するものであると認められるときは、会社に対して不利益取扱いの是正を命じ得るとされた例。
|
業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集396頁 |
評釈等情報 |
 
|