概要情報
事件名 |
アジア金属工業 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和60年(不)第6号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪地方本部アジア金属工業支部 |
被申立人 |
アジア金属工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 9月12日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)結成直後の組合との団交で合意した事項についての協定書の調印を拒否したこと、(2)昭和59年年末一時金について委員長X1及び書記長X2を低く査定したこと、(3)同X1を工場内配転したこと、(4)社長の年頭あいさつで組合を非難したことが争われた事件で、合意事項についての協定書調印応諾、X1及びX2の一時金の是正(年5分加算)及び上記(1)ないし(4)に関する文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、昭和59年12月3日までの団体交渉において申立人との間で合意に達した(1)組 合掲示板の貸与(2)組合三役の上部団体への会議出席に伴う賃金補償(3)チェック・オフの実 施(4)申立人組合を唯一の交渉団体と認めること及び(5)年間カレンダーの明示の各項目につ いて、速やかに協定書の調印に応じなければならない。 2 被申立人は、申立人組合執行委員長X1及び同書記長X2に対し、昭和59年年末一時金につ いて、協定書に基づく出勤率を基本とした再査定を行い、両人が受けるはずであった年末一 時金相当額(既に支払った金額を除く)及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければ ならない。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 日本労働組合総評議会全国金属労働組合 大阪地方本部アジア金属工業支部 執行委員長 X1 殿 アジア金属工業株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、 第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行 為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)貴組合との間で昭和59年12月3日までの団体交渉において合意に達した事項について、 協定書の調印を拒否したこと。 (2)貴組合執行委員長X1氏及び同書記長X2氏に対する昭和59年年末一時金について、低く 査定して不利益に取り扱ったこと。 (3)貴組合執行委員長X1を、昭和60年1月5日付で大阪工場の生産管理課から同工場の製 造二課へ配置転換を命じたこと。 (4)代表取締役Y1が、大阪工場及び奈良工場の従業員に対し、昭和60年1月5日の年頭あい さつで貴組合を非難する発言をしたこと。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
執行委員長及び書記長の一時金の考課査定に当たり、両人が職務怠慢により不良品を発生させたことを理由に低く査定したことが不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
執行委員長を仕事上不良品を発生させたことを理由に生産管理業務から製造業務に配置転換したことは、業務上の必要性に名をかりた不当労働行為であるとされた例。
2252 署名・調印拒否
団交の結果、労使間で合意が成立している事項について、協定書の調印を拒否した会社の行為が、労働協約締結の目的とする団交の意義を失わせしめ、団交拒否に当たるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長の年頭挨拶で組合脱退に触れた発言は、単なる意見の開陳という域を超えたものとして不当労働行為であるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
執行委員長に対する配転命令の救済として、既に同人を元の職場へ復帰させていることから、文書手交のみを命じた例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集346頁 |
評釈等情報 |
 
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