概要情報
事件名 |
岬カントリー |
事件番号 |
大阪地労委 昭和59年(不)第63号
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申立人 |
全国一般労働組合大阪府本部 |
被申立人 |
岬カントリー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 8月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)分会長X1を業務妨害の煽動を理由に懲戒解雇したこと、(2)一方的に定めた交渉条件に固執し、団交に応じなかったこと、(3)組合役員の会社構内への立入りを禁止したこと、(4)組合員キャディを暖房装置のない控室に分離したこと、(5)組合を中傷・誹謗し、組合員に脱退を勧誘したこと、(6)プレーヤーが組合員キャディの就労を拒否したことが争われた事件で、(1)X1の原職復帰、バック・ペイ(年5分加算)、(2)団交応諾、(3)組合活動のための組合役員の入構を阻止しないこと、(4)キャディ控室を同室にすること、(5)文書掲示を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X2に対して、次の措置を含め、昭和59年9月1日付解雇がな かったものとして取り扱わなければならない。 (1)原職に復帰させること (2)解雇の日の翌日から原職に復帰させるまでの間、同人の解雇前3ケ月間の賃金の平均 額を基礎として、同人が受けるはずであった賃金相当額(既に支払った金額は除く)及 びこれに年率5分を乗じた額を支払うこと 2 被申立人は、申立人が昭和59年8月4日、同月28日及び9月7日付で行った団体交渉申入 れについて、被申立人が一方的に定めた交渉時間、交渉場所及び交渉人員に固執することな く、団体交渉に応じなければならない。 3 被申立人は、申立人組合役員が組合活動のため会社構内へ立ち入ることを拒否してはなら ない。 4 被申立人は、申立人組合員キャディとその他のキャディの控室が同室になるよう措置しな ければならない。 5 被申立人は、1m×2m大の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、速やかに被申立人 の岬カントリー倶楽部ゴルフ場のクラブハウス正面玄関付近の従業員の見やすい場所に、10 日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 全国一般労働組合大阪府本部 執行委員長 X3 殿 岬カントリー株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号、第 2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為 を繰り返さないようにいたします。 記 (1)貴組合員X2氏を昭和59年9月1日付で懲戒解雇したことまたその旨をクラブハウス に掲示するとともに新聞折り込み等の方法で公表したこと (2)貴組合からの昭和59年8月4日、同月28日及び9月7日付の団体交渉申入れについ て、交渉時間、交渉場所及び交渉人員を一方的に提示し、この条件に固執したこと (3)貴組合役員に対し、組合活動のための会社構内への立入りを拒否したこと (4)貴組合員キャディの控室をその他のキャディの控室から分離したこと (5)当社代表取締役Y1が昭和59年12月27日の年末あいさつにおいて、貴組合を誹謗中傷す る発言を行うとともに昭和60年3月12日同趣旨のビラを新聞折り込み等の方法で配布し たこと (6)岬カントリー倶楽部キャディマスターY2が、貴組合員X4氏、貴組合員であったX 5氏及びX6氏に対し、貴組合からの脱退を勧誘したこと 6 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0700 職場規律違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X2に対する解雇は、スタート拒否行動等組合及び分会長としての組合活動を嫌悪し、同人を不利益に取り扱うとともに、組合の弱体化を企図したことが不当労働行為であるとされた例。
2211 団交ルールの先議
組合員X2の解雇問題等の団交申入れに対し、会社は、一方的に決定した交渉時間、場所及び交渉人員等の団交開始条件に固執した態度が不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長及び会社職制による組合員に対する脱退勧奨、組合を誹謗、中傷した発言が不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社の代表取締役の組合を誹謗・中傷する年末挨拶をビラにして新聞折り込み等で配布したことが支配介入であるとされた例。
3020 組合活動への制約
組合役員に対し、会社構内への立入りを禁止したことが不当労働行為であるとされた例。
3020 組合活動への制約
被解雇者X2に対し、会社構内への立入りを禁止したことが不当労働行為であるとされた例。
3020 組合活動への制約
組合員と別組合員との接触を抑制することを理由として、キャディ室を分離したことが不当労働行為であるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
別組合員であり、事実上の管理職の地位を持つY2キャディマスターの行った組合脱退工作は、組合間の組合員獲得運動の一貫であるとの会社主張とは認めず、管理職の行為であるとして不当労働行為であるとされた例。
3421 使用者と取引関係者の言動
プレイヤーが、プレー中組合員キャディーの就労を拒否し、その結果、組合員キャディーが不利益を被ったと主張するが、かかる行為が、会社の指示によって行われたと認めるに足る疎明はないとして、申立てが棄却された例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集251頁 |
評釈等情報 |
 
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