概要情報
事件名 |
美濃商工 |
事件番号 |
兵庫地労委 昭和58年(不)第2号
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申立人 |
美濃商工労働組合 |
被申立人 |
美濃商工 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 8月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員X1の解雇問題について、解雇時に組合員でなかったこと、裁判所で係争中であることを理由として団交を拒否したこと、一時金等についての団交に組合要求の資料を提出しないこと等が争われた事件で、X1の解雇問題についての団交拒否に関し、文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人に対して、本件命令書写し受領後7日以内に下記の文書を手交しなければならない。 記 美濃商工労働組合 執行委員長 X2 殿 美濃商工株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合員X1の解雇問題について、昭和57年4月8日の団体交渉において同人が解 雇時に組合員でなかったことを理由として話合いを拒否したこと、貴組合からの同月15日付 け及び17日付け団体交渉申入書の受取りを拒否したこと、並びに同月30日の団体交渉におい て同人の解雇について裁判所で係争中であることを理由として話合いを拒否したことは、い ずれも兵庫県地方労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であ ると認められましたので、今後このようなことは繰り返さないようにいたします。 2 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2212 交渉の場所・時間
申立人組合が申入れた団交開催時間に応じないのは、会社が団交を開催すること自体を嫌悪しているとの主張が斥けられた例。
2240 説明・説得の程度
一時金交渉の際、会社は、営業機密上問題のある資料は提供できないが、それにかわるできる限り主張に沿う資料を提供していることから、不誠実団交とは認められないとされた例。
2249 その他使用者の態度
慶弔休暇の公休取扱いについての交渉において、調査結果報告の不統一、遅延は、総務部長の交替等により生じたもので、その後の会社の対応を見ると虚偽の報告を意図したものとは認められず、不誠実団交ではないとされた例。
2249 その他使用者の態度
組合活動に必要な会社の施設の利用に関し、会社の交渉態度は届出制から許可制へと表現を変更したのみで、会社の主張は従来より一貫していることが認められ、不誠実団交ではないとされた例。
2249 その他使用者の態度
就業時間中の組合業務での面会及び電話の取り次ぎに関する団交において、労使合意に至らない部分があるものの、会社は、妥協点を見つけるべく努力していることから、直ちに不誠実団交とはいえないとされた例。
2249 その他使用者の態度
組合員X1の職場復帰についての団交の席で、会社が継続使用できる健康保険証の返還を求めた態度は、会社が、社会保険の支払手続きに精通していない事によるもので、不誠実団交とはいえないとされた例。
2210 組合員名簿・組合規約不提出
組合事務所の貸与等についての団交申入れに対し、会社が、組合員名簿の提出がないことを理由に団交を拒否したことが不当労働行為ではないとされた例。
2241 他の係争事件の存在
組合員X1の解雇問題について、裁判で争っていることを理由に団交に応じなかったことが不当労働行為であるとされた例。
2253 受取り拒否・申入れなし
組合員X1は、解雇した時点で組合員と認められないとして、解雇問題についての団交要求書の受取りを拒否したことが不当労働行為であるとされた例。
2246 併存団体との関係
36協定締結を、申立人組合に提案または話し合いもせず、別組合との間で締結したのは、別組合が過半数組合であったこと等によるもので、要件不備が指摘された後、是正していることから、差別扱いを意図したものではないとされた例。
2246 併存団体との関係
会社施設利用について、別組合が合意していることを理由に、十分な説明、協議もせず、その結論を押しつけたとの主張が斥けられた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
組合員X1の解雇が職場復帰により解決し、被救済利益が失われた場合であっても、団交拒否の事実に対して謝罪文等の手交または掲示を求めることについては、当然に被救済利益が失われるものではないとされた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集215頁 |
評釈等情報 |
 
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