労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  松下工業 
事件番号  長崎地労委 昭和58年(不)第14号 
長崎地労委 昭和59年(不)第5号 
長崎地労委 昭和60年(不)第7号 
申立人  総評・全国一般労働組合長崎地方本部松下工業支部 
被申立人  松下工業 株式会社 
命令年月日  昭和61年 8月11日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)昭和57年夏期から60年夏期までの各一時金及び58年度の昇給の査定において、組合員を不利益に取り扱ったこと、(2)組合活動を理由として年休等の取消しを行ったこと、(3)組合員の発言に対し、戒告書を掲示したこと、(4)組合員の遅刻・欠勤に対して賃金カットを行ったこと、が争われた事件で、(1)組合員に対する各一時金及び58年度の昇給の是正、差額の支払い(年5分加算)、これに関する文書掲示を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、別記申立人組合の組合員16名に対し、昭和57年夏期、同年年末、58年夏期、 同年年末、59年夏期、同年年末及び60年夏期各一時金の人事考課分の金額について、松下工 業新労働組合の組合員の平均考課率(但し、昭和59年夏期以降の各一時金については、松下 工業新労働組合の組合員に支給した考課金額の合計額を同じく支給した基礎給与の合計額で 除した数値を平均考課率とみなす。)を下回らないように是正した金額又はその是正後の金 額と既に支給した金額との差額及びこれに対する松下工業新労働組合の組合員への一時金の 各支給日から支払済みまで年5分の割合による金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、昭和58年度昇給の人事考課分の金額について、別記申立人組合の組合員16名 に対し、その平均額が、松下工業新労働組合の組合員の平均額を下回らないよう是正し、そ の是正後の金額と既に支給した金額との差額及びこれに対する松下工業新労働組合の組合員 への各支給日から支払済みまで年5分の割合による金額を支払わなければならない。
3 被申立人は、本命令書受領後速やかに下記の文章を縦1m×横1.5mの大きさの白紙に明瞭 に墨書し、被申立人会社の掲示板に1週間掲示しなければならない。
                      記
                              昭和  年  月  日
   総評・全国一般労働組合長崎地方本部
    松下工業支部
     支部長  X1 殿
                           松下工業株式会社
                            代表取締役 Y1
  当社が、貴組合の組合員に対し、昭和57年夏期一時金以降昭和60年夏期一時金までの各一 時金及び昭和58年度昇給について不利益な取扱いを行ったことは、長崎県地方労働委員会に よって労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
4 申立人のその余の申立てを棄却する。
               別記(省略) 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
一時金の考課査定にあたり、時間外労働時間数を唯一の考課基準とすることにより、組合員を低く査定したことが不当労働行為であるとされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が労委の審問開催日における組合員の各年休届を取り消し、賃金カットしたことが不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
1分間の遅刻をした組合員2名に対し、年休届を遅刻届に変えさせ、賃金及び精勤手当をカットしたことが不利益取扱いであるとの主張が斥けられた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
半日欠勤をしたことを理由に、書記長に対し精勤手当3

1600 休暇の取扱い
組合員の審問出席のための年休届に対し時季変更権を行使したのは、組合員の審問出席を妨害する意図をもってなされたものとはいえないとされた例。

2700 威嚇・暴力行為
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
朝礼時における反抗的発言を理由に組合員らに手交した戒告書を掲示板に掲示したのは支配介入とはいえないとされた例。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
地労委の審問出席のための年休の取消、賃金カットについて、賃金カット分を支払っていること等から、救済利益はないとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
昇給及び一時金差別に関する救済申立て対象者のうち、本件係属中に組合を脱退した者については、救済の対象としないとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
争点である、時間外労働時間数を唯一の考課基準とする問題については、改めた方式を提案していること、年休権の行使に関しては、組合活動を不利益取扱っていない旨表明していることから、救済を命じる必要はないとされた例。

5201 継続する行為
本件各一時金は、その都度組合を嫌悪し、弱体化を企図した単一意思に基づき、同種、同形態の人事考課査定を繰り返していることから、「継続する行為」に当たるとされた例。

5201 継続する行為
本件年休取消及び賃金カットは、会社の組合活動を嫌悪し、組合の弱体化を企図した単一の不当労働行為意思によるものであり、「継続する行為」に当たるとされた例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集80集169頁 
評釈等情報   

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