概要情報
事件名 |
都南自動車教習所 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和59年(不)第21号
神奈川地労委 昭和60年(不)第22号
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申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会神奈川地方労働組合 |
申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会神奈川地方労働組合自動車教習所支部(神奈川県自動車教習所労働組合)都南自動車教習所分会 |
被申立人 |
株式会社 都南自動車教習所 |
命令年月日 |
昭和61年 7月18日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)争議行為及び就業時間中の組合活動に係る従来の賃金控除方式を一方的に改め、控除したこと、(2)争議行為を理由に賃金支払日を遅らせたこと、(3)厚生資金を支払わなかったこと、(4)59年年末一時金及び60年夏期一時金協定の締結を引き延ばしたこと、(5)時間外協定の更新を拒否したことが争われた事件で、(1)賃金について新控除方式により控除した額と従来の控除方式により控除した額との差額の支払い、(2)争議行為を理由とする賃金支払日の繰延べ、一時金協定の締結引き延ばしなどの支配介入の禁止、(3)昭和59年の厚生資金15万円の支払い、(4)時間外協定の締結に応じ、組合員を時間外就労を含む従来の勤務体制に復すること、(5)上記(1)~(4)に関する誓約文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人分会の組合員に対し、争議行為時及び就業時間中の組合活動時間の賃 金につき、昭和59年4月21日以降、同60年11月20日までの間に控除した額と従来の控除方式 による控除額との差額相当額を別表(3)により支払わなければならない。 2 被申立人は、争議行為を理由として申立人分会の組合員の賃金支払い日を繰り延べたり、 組合員に対し、個別に通知を出すことにより、申立人分会の組合運営に支配介入してはなら ない。 3 被申立人は、昭和57年12月21日付協定に基づく昭和59年の厚生資金として金15万円を申立 人分会に支払わなければならない。 4 被申立人は、昭和59年年末一時金(一部)及び同60年夏期一時金の協定の締結を引き延ば すことにより、申立人分会の運営に支配介入してはならない。 5 被申立人は、速やかに申立人分会との時間外協定の締結に応じ、申立人分会の組合員を時 間外就労を含む従来の勤務体制に復させなければならない。 6 被申立人は、本命令受領後速やかに、下記の陳謝文を縦1m×横2mの白色木板に楷書で 墨書し、被申立人の教習所入口付近の従業員の見やすい場所に毀損することなく一週間掲示 しなければならない。 記 会社が貴分会に対して賃金控除方式を一方的に変更したこと、労働争議時の賃金支払い日 を繰り延べたこと、貴組合員に個別に文書を発送したこと、労使協定に基づく厚生資金を支 払わなかったこと、昭和59年年末・昭和60年夏期一時金の支給を遅延させたこと及び時間外 労働をさせなかったことは、神奈川県地方労働委員会から労働組合法に違反する不当労働行 為であるとの認定を受けました。 よって会社は、貴組合及び貴分会に対して深く陳謝し、今後かかる行為を再び繰り返さな いことを誓約します。 昭和 年 月 日 全国自動車交通労働組合総連合会神奈川地方労働組合 執行委員長 X1 殿 全国自動車交通労働組合総連合会神奈川地方労働組合 自動車教習所支部(神奈川県自動車教習所労働組合) 都南自動車教習所分会 分会長 X2 殿 株式会社 都南自動車教習所 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
1204 スト・カット
3106 その他の行為
ストライキ及び就業時間中の組合活動中の賃金控除方式を一方的に変更し、実施したことが不当労働行為であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
3102 争議対抗手段
賃金支給日におけるストライキ実施を理由に同支給日を繰延べたことが不当労働行為であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
3106 その他の行為
労使間の合意が成立しなかったこと等を理由に一時金の支給を遅延させたことが不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
会社が、時間外協定締結するか否かは当事者の自由であるとして、長期にわたって時間外協定の締結を拒否し、組合員に一切の残業の機会を与えないことが不当労働行為であるとされた例。
2620 反組合的言動
夏期一時金の合意がなされていないことを理由に、同一時金の内金払いを行うこととし、各組合員に同一時金に関する文書を送付したことが支配介入であるとされた例。
2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
労使協定に基づく厚生資金の支給を、1年限りの寄付であると主張して、同支給を打ち切ったことが不当労働行為であるとされた例。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
賃金控除方式を一方的に変更したことに対する救済として、反省を求めるため謝罪文の掲示を命ずることが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集113頁 |
評釈等情報 |
 
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