労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  オガワ製作所 
事件番号  埼玉地労委 昭和55年(不)第7号 
埼玉地労委 昭和56年(不)第10号 
埼玉地労委 昭和57年(不)第2号 
埼玉地労委 昭和58年(不)第5号 
申立人  総評全国一般労働組合埼玉地方本部 
申立人  総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部 
被申立人  株式会社 オガワ製作所 
命令年月日  昭和60年12月26日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)会社職制らによる支部組合員に対する家庭訪問、逮捕、監禁等の組合からの脱退工作、(2)新設されたタスクフォース等への組合員3名の配転、(3)立位作業、雑役及び夜間勤務の強制、(4)昭和55年度年末一時金の代わりとして従業員に貸し付けた生活貸付金につき、別組合員に対しては返済を求めず、支部組合員に対してのみ返済させたこと、(5)昭和56年度乃至同58年度の昇給を実施せず、また各一時金を支給しなかったことが争われた事件で、(1)会社職制らをして支部組合員の自宅を訪問させたり、逮捕及び監禁行為等組合からの脱退工作の禁止、(2)支部組合員に対する配転の取消し及び原職復帰、(3)生活貸付金につき、支部組合員X1外14名に対してのみ元利金を返済させたこと並びに支部組合員に対してのみ、昭和56年度乃至同58年度の各昇給及び各特別一時金の支給をせず、同56年度から同58年度の各夏季一時金及び同56年度、同57年度の各年末一時金の支給を行わなかったことにより支部組合員と別組合とを差別することの禁止、(4)支部組合員X1外14名に対し、同人らが会社に対し返済した元利金(年5分加算)の支払い、(5)昇給及び一時金につき、別組合と会社との間の協定に基づく昇給額及び夏季・年末一時金の支給額の決定、既に支払った賃金との差額(年5分加算)及び昇給額の1か月分に相当する特別一時金(年5分加算)並びに夏季・年末一時金(年5分加算)の支払い、(6)支部組合員に対し、立位作業、雑役及び夜間勤務を命ずるなど不利益取扱いの禁止、及び(7)ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部の組合員に対し、下記の行為をして申立人組合の組織及び運営に支配介入してはならない。
            記
 申立人組合から組合員を脱退させるための工作として
(1) 会社職制らをして申立人支部組合員の自宅を訪問させる。
(2) 申立人支部組合員に対して虚構の言辞を弄し、あるいは業務命令と称するなどして、職場等から同組合員を会社会議室等に呼び出し、逮捕、監禁行為をすること。
(3) 申立人支部組合員に対するいやがらせのため、同組合員の職場周辺に会社職制及び第三者をして居座らせ、あるいは包囲すること。
(4) 申立人支部組合員を誹謗・中傷すること。
(5) その他、申立人支部組合員に対し、強要、脅迫、勧誘、いやがらせ及び利益誘導等を行うこと。
2 被申立人は、申立人総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部の組合員X2に対する昭和55年12月9日付け第一生産課タスクフォースへの、同X3に対する同年同月25日付け第一生産課上面研磨職場への、同X4に対する同56年1月5日付け第二生産課タスクフォースへの各配置転換を取り消し、X2については第一生産課下研磨職場に、X3については第二生産課印刷職場に、X4については工作課工作職場自動制御装置付フライス盤のプログラマー及びオペレーターにそれぞれ復帰させなければならない。
3 被申立人は、次の行為により、申立人総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部の組合員とオガワ製作所従業員組合の組合員とを差別してはならない。
(1) 被申立人が、昭和55年12月従業員に貸し付けた生活貸付金につき、これを借り受けた別紙1記載の申立人支部組合員X1外14人に対して同記載の元利金を返済させ、オガワ製作所従業員組合員等には返済させなかったこと。
(2) 被申立人が申立人支部組合員に対してのみ、昭和56年度乃至同58年度の各昇給の実施及び各特別一時金の支給をせず、同56年度乃至同58年度の各夏季一時金及び同56年度、同57年度の各年末一時金の支給を行わず、オガワ製作所従業員組合員等に対してはこれを実施及び支給していること。
4 被申立人は、昭和55年12月別紙1記載の申立人総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部の組合員X1外14人に対し貸し付けた生活貸付金につき、同人らに対し、同人らが被申立人に対し昭和57年3月までに返済した別紙1記載の各人別元利金合計額に昭和57年4月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を付加して速やかに支払わなければならない。
5 被申立人は、別紙1記載の申立人総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部の組合員に対し、下記により昇給額及び夏季・年末一時金の支給額を決定し、既に支払った賃金との差額(昇給差額)及び下記(1)、(4)、(7)により決定された昇給額の1か月分に相当する特別一時金並びに夏季・年末一時金につき、その各金額に、昭和56年度5月分賃金の昇給差額及び特別一時金については昭和56年6月7日、同年度6月分以降の賃金の昇格差額については各翌月の7日、同年度の夏季一時金については同年7月15日、同年度の年末一時金については同年12月15日、同57年度5月分賃金の昇給差額及び特別一時金については同57年6月7日、同年度6月分以降の賃金の昇給差額については各翌月の7日、同年度の夏季一時金については同年7月15日、同年度の年末一時金については同年12月15日、同58年度5月分賃金の昇給差額及び特別一時金については同58年6月7日、同年度6月分以降の賃金の昇給差額については各翌月の7日及び同年度の夏季一時金については同年7月15日からそれぞれ支払済みに至るまで年5分の割合による金員を付加して速やかに支払わなければならない(ただし、X5については、同女が昭和57年11月1日に退職したため、昭和57年度の年末一時金並びに同58年度の昇給差額、特別一時金及び同年度の夏季一時金の支給を除く。)。
 なお、被申立人は、考課査定につき、申立人総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部の組合員とオガワ製作所従業員組合の組合員とを差別し、同支部組合員であるが故に不利益な取扱いをしてはならない。
            記
(1)昭和56年度の昇給
 基準内賃金に対し1人当たり平均 6.4%パーセント(ただし、定昇分及び考課査定を含む。)
(2)昭和56年度の夏季一時金
 基準内賃金の平均2か月分(ただし、考課査定を含む。)
(3)昭和56年度の年末一時金
 基準内賃金の平均2か月分(ただし、考課査定を含む。)
(4)昭和57年度の昇給
 基準内賃金に対し1人当たり平均5.15パーセント(ただし、定昇分及び考課査定を含む。)
(5)昭和57年度の夏季一時金
 基準内賃金の平均2か月分(ただし、考課査定を含む。)
(6)昭和57年度の年末一時金
 基準内賃金の平均2か月分(ただし、考課査定を含む。)
(7)昭和58年度の昇給
 基準内賃金に対し1人当たり平均4.22パーセント(ただし、定昇分及び考課査定を含む。)
(8)昭和58年度の夏季一時金
 基準内賃金の平均2か月分(ただし、考課査定を含む。)
6 被申立人は、申立人総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部の組合員に対し、同組合員であることを理由として立位作業、雑役及び夜間勤務に従事するよう命令し、又は指示するなど不利益な取扱いをしてはならない。
7 被申立人は、本命令書交付の日から5日以内に、下記文書を縦 1.5メートル横2メートルの白紙一杯に墨書し、被申立人会社構内の組合員に見やすい場所に10日間掲示しなければならない(年月日は掲示した日を記載すること。)。
            記
                    昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合埼玉地方本部
 執行委員長 X6 殿
総評全国一般労働組合埼玉地方本部オガワ製作所支部
 委 員 長 X7 殿
               株式会社 オガワ製作所
               代表取締役 Y1
 当社の下記の行為は労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると埼玉県地方労働委員会により認定されました。よって、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
            記
1 当社の社員が組合脱退工作として、(1)貴支部組合員の自宅を訪問したこと、(2)貴支部組合員に対して虚構の言辞を弄し、あるいは業務命令と称するなどとして職場等から貴支部組合員を会社会議室に呼び出し、逮捕、監禁行為をしたこと、(3)貴支部組合員の職場周辺に居座わり、又は第三者をして居座わらせ、あるいは包囲したこと、(4)貴支部組合員を誹謗・中傷したこと、(5)その他貴支部組合員に対して強要、いやがらせ等を行ったこと。
2 貴支部組合員X2に対する昭和55年12月9日付け第一生産課タスクフォースへの、同X3に対する同年同月25日付け第一生産課上面研磨職場への、同X4に対する同56年1月5日付け第二生産課タスクフォースへの各配置転換を行ったこと。
3 当社が昭和55年12月従業員に貸し付けた生活貸付金につき、貴支部組合員X1外14人に対してのみ返済させたこと。
4 当社が貴支部組合員に対してのみ、昭和56年度乃至同58年度の各昇給の実施及び各特別一時金の支給をせず、同56年度乃至同58年度の各夏季一時金及び同56年度、同57年度の各年末一時金の支給を行わなかったこと。
8 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
1302 就業上の差別
1601 福利厚生上の差別
2901 組合無視
支部組合員に対して立位作業及び夜間勤務を強制したこと、昭和55年度の年末一時金の代わりとして従業員に貸し付けた生活貸付金につき、別組合員に対しては返済を求めず、支部組合員に対してのみ返済させたこと、昭和56年度乃至同58年度の各昇給(特別一時金の支給を含む。)を実施せず、また各一時金を支給しなかったことが、不当労働行為とされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部組合員3名を組織改革により新設されたタスクフォース等へ配転させたことが、不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社職制らによる支部組合員に対する家庭訪問、逮捕、監禁及びいやがらせ等が、不当労働行為とされた例。

4415 賃金是正を命じた例
昇給差額及び一時金の支給額の算定につき、考課査定をなす際、支部組合員と別組合員らとを差別し、不利益取扱いをしてはならない旨付記のうえ、会社と別組合との協定の基準に従い、考課査定も含めて計算するのが相当であるとされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
従業員に貸し付けた生活貸付金につき、別組合に対して返済を求めず、支部組合員に対してのみ返済させたこと、昇給を実施せず、特別一時金及び夏季・年末一時金を支給しなかったことに対する救済として、各支払金額に年5分の割合による金員を付加して支払うのが相当とされた例。

4830 代表者
支部委員長X7は組合規約に従って適式に委員長に選任されたものではないと思料されるので代表権はなく支部に対する申立ては却下されるべきであるとの会社主張につき、組合規約に従って適式に委員長に選任されたか否かは組合自治の問題であり、支部内において同人の代表権が問題となるなどの特段の事情のない本件においては、不当労働行為救済申立てにつき委員長に代表権があるか否かについて使用者の干渉は許されないものと言うべきであるとして斥けた例。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集78集510頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約306KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。