労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  デイ・エス 
事件番号  東京地労委 昭和56年(不)第152号 
東京地労委 昭和58年(不)第33号 
東京地労委 昭和59年(不)第1号 
申立人  全国印刷出版産業労働組合総連合会東京地方連合会 
申立人  X1 
被申立人  株式会社 デイ・エス 
命令年月日  昭和60年 9月 3日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、53年末に再入社した申立人組合員X1の54年度の昇給、現業物価手当の増額および各期一時金基本給比例部分ならびに54年度から58年度の各期一時金年功手当部分、55年度から58年度までの基本給の昇給及び一時金の基本給比例部分ならびに54年度から58年度までの一時金の査定部分について、他の従業員に比し低査定したことなどが争われた事件で、55年度から58年度までの平均昇給額をもって是正したそれら各年度の基本額とすでに支給済のそれら各年度の基本給額との差額(年6分加算)、上記是正された各年度の基本給をもって是正した同期間の各年度各期の一時金のうちの基本比例部分の金額と同部分の支払済額との差額(年6分加算)、54年度から58年度までの各年度各期の一時金のうちの査定部分を平均額に是正した金額と同部分の支給済額との差額(年6分加算)の支払い、昇給及び一時金についての他の従業員との差別の禁止、文書交付を命じ、54年度の基本給の昇給等における入社時期の取扱いに係る申立を棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社デイ・エスは、申立人X1に対して、つぎの措置を講じなければならない。
(1)昭和55年度から昭和58年度までの各年度の平均昇給額をもって是正した各年度の基本給額と、すでに支給済のそれら各年度の基本給額との差額およびこれに対する各支払日の翌日から支払済まで年6分の割合による金員を支払うこと。
(2)前項により是正された各年度の基本給をもって是正した同期間の各年度各期の一時金のうちの基本給比例部分の金額と、すでに支給済のそれら各年度各期の一時金のうちの基本給比例部分の金額との差額およびこれに対する各支払日の翌日から支払済まで年6分の割合による金員を支払うこと。
(3)昭和54年度から昭和58年度までの各年度各期の一時金のうちの査定部分を平均額に是正した金額と、すでに支給済のそれら各年度各期の一時金のうちの査定部分の支額との差額およびこれに対する各支払日の翌日から支払済まで年6分の割合による金員を支払うこと。
2 被申立人会社は、今後申立人X1に対して、申立人全国印刷出版産業労働組合総連合会東京地方連合会所属の組合員であることを理由として、昇給および一時金について、被申立人会社の他の従業員との間に差別をしてはならない。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に下記文書を申立人組合に交付しなければならない。
            記
                    昭和 年 月 日
全国印刷出版産業労働組合総連合会東京地方連合会
執行委員長 X2 殿
               株式会社 デイ・エス
               代表取締役 Y1
 当社が貴組合所属のX1氏に対して、昭和55年度から昭和58年度までの基本給の昇給および一時金の基本給比例部分ならびに昭和54年度から昭和58年度までの一時金の査定部分について差別したことは不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。
 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。(注、年月日は、交付した日を記載すること。)
4 被申立人会社は、前第1項および第3項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が54年度の基本給の昇給、現業物価手当の増額および各期一時金基本給比例部分ならびに54年度から58年度までの各期一時金年功手当部分に関し、申立人X1を10・31協定の文言どおり53年11月21日入社として処遇したこと自体は相当の理由があり、同人の組合加入の故の不利益取扱いとはいえないとされた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
入社以来一貫して日常の業務態度が不良であるとして、申立人X1の55年度から58年度までの各年度の基本給の昇給額及び54年度から58年度までの各期の一時金の査定部分について、会社が低額の査定を行ったことは同人が申立人組合の組合員であることを理由になされた不利益扱いであるとされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
本件の救済にあたって、各年度の基本給差額および各年度の各期の一時金差額の支払いを命ずるのみでは救済として十分でなく、これに対する各支払日の翌日から支払済まで年6分の割合による金員の付加支払いを命ずるのが相当であるとされた例。

5201 継続する行為
申立人X1の54年度及び55年度の昇給・夏期・冬期一時金について、申立人組合及び同人の差別取扱いであるとの抗議にもかかわらず、一貫して同じ仕方で他の従業員より低い額を決定する行為を繰りかえしてきたことから、上記各年度の各行為は、56年度の昇給・一時金の決定行為と連続して一体をなし申立て時に至ったものであるとして、昇給・一時金等の支給決定行為の日より1年を経過していることを理由に、申立てのうち54年度及び55年度に係る部分についての却下を求める会社主張が斥けられた例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集78集233頁 
評釈等情報   

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