概要情報
事件名 |
郡山交通 |
事件番号 |
奈良地労委 昭和59年(不)第2号
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申立人 |
奈良県自動車交通労働組合郡山交通分会 |
被申立人 |
郡山交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和60年 7月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会員に対する脱退工作、新車割当ての差別及び一時金の不支給が争われた事件で、脱退工作による支配介入の禁止、新車割り当てによる差別の禁止、速やかに団交を実施して一時金を支給すること及びポスト・ノーティスを命じ、一時金の支給については、分会員、非分会員の差別がないことから、不利益取扱いではないとして申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人の組合員に対し、「金は貸せない。もし、組合を抜けたら貸してやる。」「お前ら組合を抜けろ。そしたら要求の二つや三つは聞いたる。」「共産党が嫌いなんや。組合を抜けてくれ。」などと述べて、申立人の組合員に対し、組合脱退工作をし、申立人の組合活動に支配介入してはならない。 2 被申立人は、タクシー営業用自動車を運転担当のため割り当てるについて、申立人の組合員と非組合員との間に車両の年式の新・旧を差別してはならない。 3 被申立人は、昭和56年年末以降の年末及び夏期一時金について、申立人と速やかに団体交渉を行い解決したうえで、申立人の組合員に対し、一時金を支給しなければならない。 4 被申立人は、申立人に対して、本命令書受領の日から1週間以内に、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人の事務所内の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 奈良県自動車交通労働組合郡山交通分会 分会長 X1 殿 郡山交通株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴分会に対し、下記の不当労働行為を行った旨奈良県地方労働委員会により認定されました。よって、今後、このような行為を繰り返さないことを誓います。 記 一、貴分会の組合員に対し、「金は貸せない。もし、組合を抜けたら貸してやる。」「お前ら組合をぬけろ。そしたら要求の二つや三つは聞いたる。」「共産党が嫌いなんや。組合を抜けてくれ。」などと述べて、組合脱退工作をし、貴分会の組合活動に支配介入したこと。 二、貴分会の組合員に対し、タクシー営業用自動車を運転担当のため割り当てるについて、非組合員との間に車両の年式の新・旧を差別したこと。 三、貴分会の組合員に対し、昭和56年年末以降の年末及び夏期一時金を支給しなかったこと。 5 申立人のその余の申立は、棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
昭和56年年末一時金の支給を一方的に中止し、以後再三の分会の抗議にもかかわらず、一時金の支給を行わなかったことが、7条1号に該当する不当労働行為であるとの申立人主張が斥けられた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員には新車を割り当てず、非分会員に対してのみ優先的に新車の割り当てを行ったことが不当労働行為であるとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
分会員X2ら7名に対し、分会からの脱退工作をしたことが不当労働行為であるとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会への不加入を条件として、運転手を新規採用したことが不当労働行為であるとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和56年年末一時金の支給を一方的に中止し、以後再三の分会の抗議にもかかわらず一時金の支給を中止したことが、7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
4602 組合との協議を命じた例
一時金の不支給に対する救済として、現実に支給されてきた一時金の算定基準が明らかでないことから、労使間の団交により決定した上で支給するのが相当であるとされた例。
5201 継続する行為
分会員X2に対する脱退工作について、申立時より1年以上前の事柄であるが、他の分会員5名らに対する脱退工作と継続する不当労働行為意思のもとに行われたものであるとされた例。
5201 継続する行為
昭和56年年末一時金以降の一時金を支給しないことに対する救済申立てについて、この措置は包括して一連の不当労働行為とみるべきであって、本件申立時より1年以上前の不支給も対象になるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集78集62頁 |
評釈等情報 |
 
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