労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ニュードライバー教習所 
事件番号  京都地労委 昭和45年(不)第3号-2 
京都地労委 昭和45年(不)第13号-2 
申立人  総評全国一般労組京都地方本部京都自動車教習所労働組合 
被申立人  株式会社 ニュードライバー教習所 
命令年月日  昭和49年12月20日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合活動のための職場離脱、職制に対する反抗的態度を理由に分会長X1を2度にわたり出勤停止処分としたこと、別組合に実施した賃上げ、一時金を分会員については行なわないこと、分会との36協定未締結を理由に時間外労働を拒否したことなどをめぐる事件で、処分の取消、バックペイ、別組合と同一条件での一時金、賃上げの実施、時間外労働の実施、バックペイ及びポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、X1に対する昭和44年10月18日から21日まで及び昭和45年6月10日から23日までの各出勤停止を取り消し、その間に同人が受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、X1に対し、昭和44年年末一時金、昭和45年夏季一時金及び同年年末一時金の支給並びに同年の昇給をニュードライバー労働組合と妥結したのと同一条件で行わなければならない。
3 被申立人は、X1に対し、時間外労働に従事させるとともに、昭和44年12月21日から時間外労働に従事させるまでの間、同人が時間外労働に従事していたならば受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、下記の文書を申立人に提出するとともに、同内容の文章を縦1メートル、横 1.5メートルの大きさの模造紙に墨書し、被申立人会社正門内の従業員が出退社の際見易い場所に10日間掲示しなければならない。
                記
 会社は、X1に対する昭和44年10月18日から21日まで及び昭和45年6月10日から23日までの各出勤停止、昭和44年年末一時金、昭和45年夏季一時金及び同年年末一時金を支給しなかったこと、昭和45年の昇給をさせなかったこと、時間外労働をさせなかったことはいずれも不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約します。
   昭和 年 月 日
   総評全国一般労組京都地方本部
   京都自動車教習所労働組合
       執行委員長 X2 殿
          株式会社ニュードライバー教習所

            代表取締役 Y1 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2244 特定条件の固執
賃上げ、一時金等の協定未締結の理由は、会社が団交条件に固執し、団交を拒否したためであり、また、従来分会と団交をしないまま別組合と同一条件で支給していた態度を変更したことにつき、首肯しうる理由は見い出しがたいこと等からみて、協定未締結を理由に分会員に賃上げを実施せず、一時金を支給しなかったことは、分会と団交が行なわれないことに藉口してなした不当労働行為である。

1302 就業上の差別
会社は、過半数の従業員と36協定を締結しているので、分会と別個の協定がなくても分会員が明示的に時間外労働を拒否する意思を表示しないかぎり、法的に差支えなく、しかも、組合は文書をもって協定締結を申入れていること等から、分会員に時間外労働をさせなかった会社の措置は、一時金の不支給などと併せて経済的不利益を与えるためになした不当労働行為である。

1400 制裁処分
3600 処分の差別
3700 使用者の認識・嫌悪
X1ら分会三役の職場離脱は組合活動として行なわれたもので会社もそれを知りうる状態にあったこと、従来は賃金カットのみでそれ以外に処分はしてないこと、及び当時の労使関係等からみて、本件出勤停止処分を行った真の理由は、会社の企業閉鎖を警戒し会社内で宿泊態勢をとり、あるいは親会社に抗議行動をするなどの活発な組合活動を嫌悪したものであり、不当労働行為である。

1400 制裁処分
3700 使用者の認識・嫌悪
教習用コース内の草刈作業を拒否したことは、技能指導員の業務内容として慣行化されていないことから業務命令違反とはみられず、また、X1が課長に反抗的態度をとったことは、当日の混乱した状況のなかでは重大な職場規律違反にあたらず、本件出勤停止処分は、分会の中心となって活動していたX1の組合活動を嫌悪してなした不当労働行為である。

4838 申立ての承継
K組合は当初申立人組合であったR組合の大会でR組合から分離独立したものであり、その際、K組合がR組合の運動方針を引き継ぎ、従来R組合が行っていた地区の活動のすべて継承することを決定しており、R組合とK組合の連名で本件救済申立につき承継申立書を提出しているから、K組合が適法に本件申立人の地位を継承し、本件救済申立の資格を有するものと判断する。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集511頁 
評釈等情報   

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