労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  山手英学院 
事件番号  神奈川地労委 昭和49年(不)第2号-2 
申立人  神奈川私学単一労働組合 
被申立人  学校法人 山手英学院 
命令年月日  昭和50年 6月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  父母の会の機関紙等による組合に対する中傷誹謗、組合員を研修旅行引率者にしないこと、組合員教師の担当科目について教員募集広告をしたこと等が争われた事件で、父母の会を利用しての支配介入の禁止、教員募集広告の禁止、人事配置について差別の禁止、陳謝文の手交を命じ、研修旅行引率者問題などについては棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、父母の会を利用して、申立人組合を誹謗中傷し、組合活動に支配介入しては ならない。
2 被申立人は、申立人組合員に勧奨退職あるいは解雇を予想し、不安を与えるような教員募 集広告をしてはならない。
3 被申立人は、学級担任、校務分掌など人事配置について申立人組合員を他の教職員と差別 してはならない。
4 被申立人は、本命令書受領の日から一週間以内に下記の文書を申立人組合に交付しなけれ ばならない。
                   記
  当学院が (イ)父母の会を利用して組合を誹謗、中傷し、申立人組合活動に支配介入した  こと、 (ロ)当学院が組合員に退職あるいは解雇の不安を与えるような教員募集をしたこ   と、 (ハ)当学院が、学級担任、校務分掌など人事配置について組合員教員と他の教職員と差 別したことは、神奈川県地方労働委員会において不当労働行為と認定されました。
  よって以後かかる行為を繰り返すことがないよう留意します。
                               昭和 年 月 日
   神奈川私学単一労働組合
    山手英学院分会
     分会長 X1 殿
                        学校法人 山手英学院
                         理事長 Y1
5 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
学園が、教務部員を辞任した組合員である教師4名の後任に非組合員だけを任命したことは、同人らの辞任の理由が新校長の就任を嫌悪したものと受けとられており、後任を急ぐ学院が後任者に非組合員教師のみを任命したとしてもこれを直ちに不利益扱いとみることはできない。

1302 就業上の差別
夏期講習会の講師に、学院が組合員を委嘱しなかったことは、従来からその依頼要請は一般的に希望者を募るといった程度のものであり、又格別組合員からの講師希望が断わられた事実もないのであるから、これをもって学院の組合員排除の措置とまでは認められない。

1302 就業上の差別
アメリカ研修旅行引率者に組合員が一人も選ばれなかったとしても、教職員多数の中から数名の引率者が選ばれるのであり、また組合員は除外するとの学院の意思表示もなかったのであるからこれをもって直ちに不当労働行為と推断しえない。

1302 就業上の差別
学年途中で学院が一方的に組織・分掌表を発表してクラス担任を変更し、組合役員7名のうち6名が担任を解かれたことは、クラス担任の年度途中の変更は慣行に反するのみでなく、教育的見地から当を得たものとは思われず、実質的に廃止されていた職員会議の開催を要求していた組合に対する嫌がらせとも見られその後、同提案が撤回されたとしても、本件措置は不当労働行為といえる。

2620 反組合的言動
3422 その他の者の言動
学院の指導、制約下にある父母の会が、機関誌をはじめ各種の文書で組合を中傷誹謗したり、また地区集会において学院側の代表者のみ招いて紛争時の労使関係につき説明をさせ、組合には弁明の機会を与えなかったことは、学院が父母の会を利用して組合の弱体化を計ったものである。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
大手新聞に組合役員の教師の担当科目に限り教員募集を掲載したことは、特にそれらの科目の教師が不足しているとは思われないこと、募集の結果として当時の教員希望者がいかに多いかを例証したこと等から在任教師に与えた不安は無視できず、結果において採用を行わなかったが組合弱体化をはかった支配介入行為である。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集612頁 
評釈等情報   

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