労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  昭和無線工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和47年(不)第4号-2 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方本部 
被申立人  昭和無線工業  株式会社 
命令年月日  昭和51年12月 3日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  配転命令拒否を理由に共助会活動の中心的人物を懲戒解雇し、朝礼における組合非難の社長発言、ストに参加した組合員の父兄及び保証人に対してのみ組合中傷の文書を送付し、組合員X1の父親に組合脱退説得方を要請した事件で、配転及び懲戒解雇の取消し・原職復帰、バックペイ(年5分相当額を加算)、支配介入の禁止、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人の組合員X2に対し、昭和46年4月26日以降次の措置を含め、同日づけの配置転換命令及び同年8月17日づけ懲戒解雇処分がなかったと同様の状態に回復させなければならない。
(1) 原職又は原職相当職に復帰させること。
(2) 昭和46年8月17日以降同人に支払われるべき賃金及び一時金相当額に年5分相当額を加算した金額を支払うこと。
2 被申立人は、組合員の保証人、若しくは父兄への手紙、社内放送又は職制を介して、申立人組合をひぼう中傷し、申立人組合からの脱退をはかるなどして申立人の運営に介入してはならない。
3 被申立人は、本命令交付後1週間以内に下記の文書を縦1メートル以上、横1メートル以上の木板に明記し、被申立人の神奈川工場正面入口の見易い場所に毀損することなく、14日間これを掲示しなければならない。
           誓     約
 会社が、総評全国一般労働組合神奈川地方本部湘南地域支部昭和無線工業分会の運営に支配介入し、かつ、X2組合員に配転を命じ、これを拒否したことを理由に同人を解雇したことは不当労働行為でありました。会社は、これを厳しく反省し、今後かかる行為を再び行わないことを誓約します。
                昭和 年 月 日
   総評全国一般労働組合
  神奈川地方本部
    執行委員長 X3 殿
  同湘南地域支部昭和無線工業分会
    分会長 X4 殿
            昭和無線工業株式会社
             代表取締役社長 Y1
            同神奈川工場
             工場長 Y2 
判定の要旨  0110 結成行為の範囲とされた例
1300 転勤・配転
3700 使用者の認識・嫌悪
親睦会の会長で組合結成準備活動をしていたX2を東京本社に配転したことについて営業部門の強化方針があったとしても、同人をその要員に選んだ合理的根拠がないこと、本件配転命令は会社が労務対策の布陣を強化した時期に行われたものであり、当日は同人が親睦会会長に再選されることが確実であったこと、全社で異動のあったのは同人のみであったこと、更に会社が同人の親睦会を通じた組合結成の準備活動をきらい、これを抑えようとしていたと認められること等を考慮すると、本件配転は不当労働行為である。

0110 結成行為の範囲とされた例
親睦会の活動が組合結成の準備活動であるとされた例。

1102 業務命令違反
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
配転命令拒否を理由として、分会公然化直後にその中心人物を懲戒解雇したことが不利益扱いとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
朝礼で社長が組合を暴力団と同類である旨の発言をしたことが支配介入とされた例。

2620 反組合的言動
ストに参加した組合員の保証人・父兄に対してのみ組合を中傷したり、組合員を教導してほしいとの文書を送付したことが支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長が来社した分会員の父兄に組合を中傷する発言をしたことが支配介入とされた例。

2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3800 行為の結果・その他
会社が組合を中傷・誹謗した一連の行為は、労使関係が緊張関係にあった時期に行われ、その過程で分会員の数が激減していること等から組合脱退等を図った支配介入とされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集260頁 
評釈等情報  労働法律旬報 三浦守正 1977年 2月25日  922号 77頁 

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