労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  和田製本工業 
事件番号  東京地労委 昭和56年(不)第124号 
申立人  X1 ほか4名 
申立人  全国印刷出版産業労働組合総連合会 東京地方連合会 
申立人  全国印刷出版産業労働組合総連合会 東京地方連合会 和田製本労働組合 
被申立人  和田製本工業 株式会社 
命令年月日  昭和60年 6月18日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合員5名の昭和51年度昇給以降、56年度夏季一時金までの間における各昇給額及び各一時金支給率を平均値よりも低位に据置いたことが争われた事件で、組合員5名のこれら昇給、一時金の考課査定点を現業一般男子従業員の平均点に引上げ、既支給額との差額(年6分加算)を支払うこと、今後の昇給及び一時金についての差別の禁止並びにポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人和田製本工業株式会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5に対して、つぎの措置を講じなければならない。
 (1) 昭和51年度(ただし、申立人X5については昭和55年度)から、昭和56年度までの各年度における昇給査定の合計点を現業一般男子従業員の平均点に引上げて算出した各年度の賃金額と、既に支給済の各年度の賃金額との差額およびこれに対する各支払日の翌日から支払済まで、年6分の割合による金員を支払うこと。
 (2) 昭和51年度夏季一時金(ただし、申立人X5については昭和54年度冬季一時金)から、昭和56年度夏季一時金までの各季における一時金査定の合計点を現業一般男子従業員の平均点に引上げて算出した支給率(ただし、昭和51年度および昭和52年度冬季一時金については一般従業員支給率)を、前項により是正された各年度の賃金に乗じて得られる各季一時金の支給額と、既に支給済の各季一時金との差額およびこれに対する各支払日の翌日から支払済まで、年6分の割合による金員を支払うこと。
2 被申立人会社は、今後申立人組合員らに対して、申立人組合所属の組合員であることの故をもって、昇給および一時金について、申立人組合員以外の者との間に差別をしてはならない。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に明瞭に墨書して、被申立人会社本社、同板橋事業部、同練馬事業部、同大塚事業部の各構内の掲示板に10日間掲示しなければならない。
              記
                    昭和 年 月 日
 全国印刷出版産業労働組合総連合会東京地方連合会
 執行委員長  X6  殿
 東京地方連合会和田製本労働組合
 執行委員長  X2 殿
        X1  殿
        X2  殿
        X3  殿
        X4  殿
        X5  殿
             和田製本工業株式会社
             代表取締役社長 Y1
 当社が貴組合所属の組合員各位に対して、昭和51年度昇給以降、昭和56年夏季一時金までの間、昇給および各季一時金いついて差別したことは不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。
 今後このような行為を繰返えさないよう留意します。
 (注、年月日は掲示した日を記載すること。)
4 被申立人会社は、前記第1項および第3項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員らの昭和51年度昇給以降、56年度夏季一時金までの間における各昇給額及び各一時金支給率を平均値より低位に据置いたことが、不当労働行為とされた例。

4407 バックペイの支払い方法
昇級差別の救済として、各年度の昇給査定内容の合計点を一般従業員の平均値に引き上げるよう求めたのに対し、組合員らが技術職種に属していることから、人事考課において適用される「ウエイト」が同人らと同じである現業一般男子従業員の平均点に引き上げて、各年度の昇給額を算出し、これを加算して是正される各年度の賃金額と既に支給済の各年度の賃金額との差額の支払いを命ずるのが相当額とされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
賃金差別の救済にあたり、各年度の賃金差額及び各季一時金差額の支払いを命ずるのみでは、救済として十分ではないとして、これらに対する各支払日の翌日から支払済まで、年6分の割合による金員の付加支払いを命ずるのを相当とされた例。

5201 継続する行為
昇給及び一時金の決定は、それぞれ独立した1回限りの完結した行為であるから、申立日(昭和56年9月)より一年前に決定された昭和51年度以降55年度夏季一時金までの救済申立ては、不適法なものとして、労組法27条2項及び労委規則34条1項3号により却下されるべきであるとの会社主張につき、組合が会社に対して、51年度以降、各年度の昇給や一時金などの団交の都度、会社による賃金格差が拡大しているとして、再三にわたり、賃金体系と査定方法の再検討を約した「50年協定」第5項の履行を迫り、かつ、これを無視した会社の態度に抗議してきたにもかかわらず、会社はこれを放置し続けていること等からすれば、51年度以降の各年度における昇給・一時金の決定行為は連続して一体をなしているものと認めるのが相当額であるとして斥けた例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集77集575頁 
評釈等情報   

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