概要情報
事件名 |
三栄金属工業 |
事件番号 |
東京地労委 昭和58年(不)第84号
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申立人 |
総評全国一般・東京一般労働組合 |
被申立人 |
三栄金属工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和60年 6月 4日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社部長が分会長に対し、同人の行うパート労働者に対する組合への加入勧誘を阻止する発言をしたこと、同人の組合からの脱退を示唆ないし勧奨したこと、労基署への安衛法違反等の申告を非難する旨の発言を行ったこと及び組合と取り交わした配転、解雇等に関する同意約款の解約通告を行ったことが争われた事件で、分会長の行うパート労働者に対する組合への加入勧誘を阻止したり、組合からの同人の脱退を勧奨したり、同人が分会長として労基署へ安衛法違反等の申告したことを非難したりするなどの言動を行うことによる支配介入の禁止及びこれらについての文書の交付を命じ、同意約款の解約通告については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人三栄金属工業株式会社は、申立人総評全国一般・東京一般労働組合傘下の申立外三栄金属分会の分会長に対し、同人の行うパート労働者に対する申立人組合への加入勧誘を阻止したり、申立人組合からの同人の逸脱を勧奨したり、同人が分会長として労働基準監督署へ労働安全衛生法違反等の申告をしたことを非難したりするなどの言動を行うことによって申立人組合の組織運営に支配介入してはならない。 2 被申立人会社は、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 総評全国一般・東京一般労働組合 執行委員長 X1 殿 三栄金属工業株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合傘下の三栄金属分会分会長に対し、(1)「パート労働者に手をつけたら大変なことになる。組合に加入させるな」、(2)「南葛から一本立ちしないか」「君も35歳、今がチャンスだ、南葛とつきあっていたら君は不幸になる」および(3)「磐田(労働基準監督署)に何をしに行ったのか、君は三栄で働いているんだから変な気を起すな」などの言動を行ったことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意いたします。 (注、年月日は、文書を交付した日を記載すること。) 3 被申立人会社は、前第2項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 4 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
総務部長が分会長に対し、同人の行うパート労働者の組合加入の勧誘を阻止する発言を行ったことが、組合の組織運営に対する支配介入とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社部長が分会長に対し、組合からの脱退を示唆ないし勧奨したことが、組合の組織運営に対する支配介入とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
分会長が労基署に安衛法違反等の申告を行ったことを非難する会社部長の言動が、組合の組織運営に対する支配介入とされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
組合員X2の配転問題を契機に配転、解雇等に関して組合と取り交わした同意約款の解約を通告したことが、このX2の問題についてはすでに裁判所で和解が成立していること、X2の配転問題の処理を離れて会社が同意約款の解約それ自体によって組合の組織に影響を与えようとしたとか組合を弱体化させようとしたと認めるに足る特段の事情の疎明がないことから、組合に対する支配介入に該当するとはいえないとされた例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集77集549頁 |
評釈等情報 |
 
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