概要情報
事件名 |
第一環境事業 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和59年(不)第12号
|
申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 |
申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部第一環境事業分会 |
被申立人 |
第一環境事業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和60年 3月28日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社との委託契約により、水道メーターの検針業務に従事する検針員が加入している組合分会からの労働条件の改善等を内容とする団交申し入れに対し、検針員は会社から委託を受けて行う個人事業主であって労働者ではなく、会社には団交応諾義務はないとしてこれを拒否したことが争われた事件で、団交拒否の禁止及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部第一環境事業分会の申し入れる団体交渉を、その分会員が労働組合法第7条にいう雇用する労働者ではないという理由によって拒否してはならない。 2 被申立人は、本命令交付後速やかに、次の誓約書を縦1メートル横 1.2メートルの白色木板に読みやすい字ではっきりと書き、被申立人の川崎事務所及び生田営業所内の従業員の見やすい場所に毀損することなく10日間掲示しなければならない。 誓 約 書 当社が、貴組合の分会員である水道メーター検針員は、当社の雇用する労働者ではないとして貴組合分会との団体交渉を拒否してきたことは、神奈川県地方労働委員会によって労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。 当社は、このことについて深く反省し、今後は誠意をもって貴組合分会との団体交渉に取り組み、再びこのような行為を繰り返さないことを誓います。 昭和 年 月 日 総評全国一般労働組合神奈川地方連合 川崎地域支部 執行委員長 X1 殿 同 第一環境事業分会 執行委員長 X2 殿 第一環境事業株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
2112 雇用する従業員不存在
4825 その他
水道メーター検針業務に従事する検針員は、会社の営業組織の最も基礎的な部分を構成し、しかも業務の遂行方法について具体的な指示を受けて一定時間会社の管理の下に労務提供をし、出来高給の報酬を受けていることが認められ、実態として、労働者性を有するものと判断せざるをえないこと、契約の形態上、通常の労働者と比較して弱い立場にあり、単独で自らの労働条件について会社と交渉しうる力もなく、その加入する労働組合を通して団交を行い、労働条件の向上を図るほか途がないことから判断しても、労組法第7条第2号の「雇用する労働者」に該当する者と解するのが相当であるとされた例。
2112 雇用する従業員不存在
検針員は会社の雇用する労働者ではなく、個人事業主であるとの主張に固執して団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。
4504 他の救済と重畳的に団交の必要性を認めた例
会社が団交を拒否したことは、組合分会を軽視したものと認められるので、救済の方法としては、団交応諾と併せてポスト・ノーティスを命ずることが相当であるとされた例。
|
業種・規模 |
その他の事業サービス業(建物サービス業、民営職業紹介所、警備業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集77集251頁 |
評釈等情報 |
 
|