労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  近江産業 
事件番号  大阪地労委 昭和55年(不)第79号 
大阪地労委 昭和56年(不)第19号 
大阪地労委 昭和57年(不)第25号 
申立人  総評全国一般大阪地連近江産業労働組合 
被申立人  近江産業 株式会社 
命令年月日  昭和60年 3月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)昭和55年度及び同56年度の賃上げ並びに各一時金について、組合員X1ら5名を低く査定したこと、(2)一時金と同時に支給した功労金、特別報賞金を、組合員にのみ支給しなかったこと、(3)同55年年末一時金に関する団交を誠実に行わなかったこと、(4)非組合員らを中心とした親睦会である誠和会が実施した旅行に際し、一般組合員に対してのみ参加を勧誘して費用を補助したこと、(5)従業員の欠員を補充せず、下請化することによって組合の勢力拡大を阻止したこと及び(6)組合脱退を勧奨したことが争われた事件で、組合員X1ら5名に対する昭和55年、同56年の賃上げ及び一時金の査定の是正と差額の支払い、組合員X1ら17名に対する功労金、特別報賞金等の差額の支払い及び上記(1)ないし(4)についてのポスト・ノーティスを命じ、欠員の不補充、組合脱退勧奨については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1、同X2、同X3、同X4及び同X5の昭和55年度及び同56年度における賃上げ並びに同56年及び同56年支給の一時金の査定ランクを第3に是正し、既に支払った額との差額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合に対し、昭和56年年末一時金と同時に支給した功労金、同56年夏期一時金と同時に支給した特別報賞金、同55年決算報賞金及びこれと同時に支給した別途報賞金並びに同56年決算報賞金について、非組合員に対する平均支給額との差額(次表記載の金額[省略])及びこれに対する年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。

 組合員名   功労金   特別報賞金  55年決算報賞金  56年決算
                     及び別途報賞金   報賞金

 X1    150,000円  50,000円    195,714円    150,000円

 X2      〃     〃      75,714      〃

 X3      〃     〃       135,714      〃

 X6      〃     〃       149,714     100,000

 X7      〃     〃        〃       〃

 X4      〃     〃       155,714      〃

 X5      〃     〃        〃       〃

 X8     100,000     0       53,000     50,000

 X9      〃     〃        〃       〃

 X10     〃     〃       83,000     〃

 X11     〃     〃        〃       〃

 X12     〃     〃        〃       〃

 X13     〃     〃        〃       〃

 X14     〃     〃        〃       〃

 X15     〃     〃        〃       〃

 X16     〃     〃       113,000     〃

 X17     〃     〃        〃       〃

 X18     〃     〃        〃       〃

3 被申立人は、1メートル×2メートル大の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、速やかに本社及び鶴浜鉄鋼センターの従業員の見やすい場所に、1週間掲示しなければならない。
              記
   昭和 年 月 日
 総評全国一般大阪地連近江産業労働組合
  執行委員長 X1 殿
               近江産業株式会社
                代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
(1) 昭和55年度及び同56年度の賃上げ並びに同55年及び同56年支給の一時金の査定において、貴組合の営業職及び事務職の役員を不利益に取り扱ったこと。
(2) 昭和55年年末一時金と同時に支給した功労金、同56年度夏季一時金と同時に支給した特別報賞金、同55年決算報償金及びこれと同時に支給した別途報償金並びに同56年決算報賞金の支給に際し、貴組合員を不利益に取り扱ったこと。
(3) 昭和55年年末一時金に関して、貴組合と誠実に団体交渉を行わなかったこと。
(4) 昭和55年6月、社員会「誠和会」が実施した九州旅行に際して、同会会員をして一般組合員のみにこの旅行への参加を勧誘させ、その参加者に旅行費用の補助を行ったことにより、組合役員と一般組合員の分断をはかったこと。
4 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、(1)昭和55年度及び同56年度の賃上げ並びに同55年及び同56年支給の夏季・年末一時金の査定において、申立人組合の組合員X1ら5名の営業職及び事務職にある者を従業員平均より低く査定したこと、(2)昭和55年年末一時金支給時に残業手当とは別に、特に残業に協力したこと等を理由に支給される功労金を、非組合員のみ支給し、組合員には支給しなかったこと、また、昭和56年夏季一時金支給時に従業員の業務成績にもとづき支給される特別報賞金を、天満営業所の組合員には支給しなかったことが、いずれも組合員を不利益に取扱い、組合の弱体化を企図した不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
会社が昭和55年決算報賞金及び別途報賞金並びに同56年決算報賞金を組合員に対して、無支給又は非組合員よりも低額支給したことが、不当労働行為であるとされた例。

2244 特定条件の固執
昭和55年年末一時金に関する団交において、回答内容に固執し、妥協することは絶対しない旨述べるなどの交渉態度が労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
3106 その他の行為
管理職を含め、非組合員らを中心とした会社従業員の親睦会である誠和会が企画した九州旅行の実施に際し、会社が経費援助を行ったうえ、誠和会員をして組合役員を除く一般組合員にのみ参加を勧誘させたことが、組合役員と一般組合員の分断を企図したもので、不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  鉄鋼業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集77集207頁 
評釈等情報   

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